意識の境界に認識のすり合わせ

「言ってみれば、こちらのティアはある意味では元々の貴方よりも世間知らずだということです。と言うより下手をすれば彼女、実戦どころか兵士として現場を経験すらしていない可能性もありますよ」
「実戦すらって・・・そんなことが・・・」
「さっき私に槍を突き付けられた瞬間の彼女の勢いの失われ方は見たでしょう。私達が元いた方のティアは予定外の時に感情が揺らぐ事はあったものの、基本的に戦闘では物怖じはしていませんでした。ですが先程の彼女は明らかに首元に突き付けられた槍に怯えていました・・・この事から実戦を全く経験していないは言い過ぎだとしても、命が奪われるかどうかのギリギリのレベルの戦いの経験はしていないと思われます」
「それは・・・有り得るのか、そんなこと・・・?」
「こちらの謡将次第では有り得ないことではないと思いますが、そもそも彼女がモースの配下であるかどうかも疑問に思っています。一応は私には敬語は使ってはいましたが、それでも不満を一切隠すような素振りすらありませんでした。それを考えるとあの態度から自分の気に入らない上司に対して素直に従う姿など私には想像出来ませんし、そもそもそんな問題のある兵士をモースが好んで自分の元で起用し続けるとも思えません」
「あ~・・・モースなら確かにあのティアの事を聞いてたらそうはしないだろうな~・・・」
そんなジェイドが口にしたティアの可能性についてにルークはまさかといったように漏らすが、進んでいく話の中でモースの事が出たことに否定を返せなかった。あのティアの事をモースが好きになるとはとても思えないと。
「・・・なぁ、ジェイド。ちょっとその辺りも含めて、これからイオン達に会えないか?あのティアが俺でもお前でも今の状態で世間話をしてくれるとは思えないし、イオンなら少なからず何か知ってるかもしれないしさ」
「そうですね・・・私達二人だけでは色々と情報が不足していますし、ダアトに所属してる二人に話を聞いた方が早いでしょう。では案内しますので付いてきてください」
「分かった」
それで少し考えた後にイオン達に会いに行くことを提案するルークにジェイドも賛同し、二人は早速と部屋を後にしていく。






・・・それで少し離れた部屋にジェイドの案内の元で入ると、そこにはイオンとアニスの二人が椅子に座っていた。
(イオン・・・!)
(『気持ちは分かるけど、落ち着け・・・ここじゃお前とイオンは初対面なんだからよ』)
(っ、あぁ・・・分かってるよ)
その姿を見て内心でイオンへの気持ちが溢れ出るルークだが、『ルーク』の言葉で気持ちを落ち着かせる。言われた通りこちらのイオンとは顔合わせは初めてであり、妙なテンションで接しても向こうが訝しむだけだと考え。
(『取り敢えずゆっくりいけ、あんまりがっつりいくとボロが出そうだしよ』)
(あぁ、分かった)
それで『ルーク』がアドバイスを送った事で完全に気を取り戻しつつ、中に入ったジェイドの横に並び立つ。
「失礼します、イオン様」
「どうしたんですか、ジェイド?それに隣にいらっしゃる方は?」
「その説明とイオン様とアニスにお聞きしたい事がありますので、少々お時間をよろしいでしょうか?」
「えぇ、構いませんよ」
「では早速お話しさせていただきます」
そこからジェイドが挨拶がてらにイオンと話を進めていき、了承が返ってきたことに話を始める。ルークとティアの事についての話を・・・









.
4/21ページ
スキ