異なる結末と焔の安寧

「・・・まぁアニスについては終わりにするが導師、いやイオンはどうしている?立場が立場なだけに表だって活動は出来ないから、俺には情報は回ってこないが・・・」
そうして先に出した言葉通りアニスについては終わりと、アッシュはイオンと呼び直しをした後にその後についてを聞く。
「彼なら今も元気に働いていますよ。と言っても偽名で髪を茶色に染め、主に書類仕事という目立たない形でですけどね」
「そうか・・・今となってはもう導師イオンの顔を知る者はほとんどいないのだから、グランコクマの街を普通に練り歩いているのか?」
「そうですね。もう今となっては『導師イオン』の顔を知る者はほとんどいませんし、彼は青年として体つきも多少成長しましたから当時の彼を見ていたならこそ余計にイメージは繋がらないでしょうね」
「そうか・・・なら普通にイオンは暮らせているということなんだろうが、導師として活動することとそうして暮らすことのどちらが正しかったのか分からんな・・・」
「・・・その辺りに関しては本来あるべき形に戻ったとだけ思った方がいいでしょうね」
ジェイドはその疑問に関してどうなのかを説明していくのだが、アッシュがその中身に複雑そうにイオンはダアトに残るべきであったかどうかと漏らす様子に少し首を横に振りつつ返していく。
「そもそもを言うなら彼やシンクが生まれたのは謡将がフォミクリー技術についてをモースに認知させた上で、巻き込んで自身らに抗議をさせないだとか排除の動きをさせないためといった意味合いも含まれてますが、それでも本来なら謡将が行動していなければ導師の血筋はもう完全にいなくなっていてダアトはそれを誤魔化すことは出来なくなっていたでしょう。被験者と彼が入れ替わる前は体調が悪いからと人前に『導師イオン』が出ないのは普通だったそうですが、それでも導師が死んだとなればフォミクリー技術が無ければ嫌でもそれを明かさねばならなくなっていたのは確かです。まぁその場合の導師は誰になるだとかという問題はあったかとは思いますが、それでも今のようにもう導師の血脈が途絶えたことは仕方無い物として認識はされていたでしょうね」
「・・・確かに最初こそは導師が亡くなったと聞かされた人々からの声に関しては悲哀に満ちた物が多かったが、今となってはもう普通の事だと認識されているからな・・・」
そしてそこでジェイドから出てきた『導師イオン』関連の事柄の数々に、アッシュも理解出来るというように漏らしていく。






・・・首脳会談が終わり少しした後、ダアトは『導師イオン』が亡くなった事に関してを表向きの物として発表した。以前から体調は優れていなかったが、それでもヴァン達の企みを止めるのもそうだが各地のセフィロトの扉を開くにはイオン以外ではそれは出来ないということから奔走してきたが、その無理が祟って首脳会談が終わった後に体調を崩してそのまま亡くなった・・・というよう。

その発表にローレライ教団の信者は特に悲嘆に暮れたといった様子を見せていった。首脳会談までこぎ着け両国を結び付ける事まで出来たと言うのに、導師がそんな形で亡くなるのかというよう。

しかしそれでも生きていくのもそうだがローレライ教団やダアトが存在している以上、『導師イオン』の死にずっと悲嘆に暮れてもいられないとトリトハイムを中心としてダアトは動いていき、三十年以上の時間が経って今となってはもうその死や導師の血脈が途絶えたことは過去の物となったのだ。四十以上の年齢の人物達もその悲しみを乗り越え、三十以下の年齢の者達は過去の出来事として受け止める形でである。









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