異なる結末と焔の安寧

「・・・もうガイについてはいいでしょう。次の話題にいきたいところですが、アニスについては貴方は何か知っていますか?私は一応何回かユリアシティに行って彼女と話しましたので、ある程度は彼女の事については知っていますが・・・」
「いや、俺は聞いていないな。基本的にキムラスカ内で活動していたこともあるが、以前のようにヴァンを倒した英雄といったような肩書きもないからアニスの活動については人伝に広まるような理由もなかったからな」
そんな空気を払拭しようと別の話題にとアニスのことを口にしたジェイドに、アッシュは表情を戻して首を横に振る。
「ならお話ししますが、度々ユリアシティで会う彼女はどうにかダアトに戻れないかと愚痴るように言っていました。やはりこの辺りはずっとダアトに両親がいることと、何だかんだで両親の事を嫌いになれなかったからでしょう。ですからそこを足掛かりに色々探り探り聞いてみたんですが、やはりスパイをしなくなって良くなった事からか所々警戒はしてはいても度々見える緩みから、彼女の抱いている気持ちやその背景が想像出来ました」
「具体的にはどういった部分だ?」
「まぁ簡単に言うなら両親との連絡というか手紙による文通はしていたらしいのですが、両親が置かれていた状況に関しては複雑だといった隙を所々見せていました。察するに借金をしなくなったことに関しては嬉しくは思いつつも、押し込められたその環境から出たならどうなるかにそうさせた状況で自分と暮らしたならどうなるか・・・この辺りを想像したからこそだと思います」
「あぁ・・・十中八九などといった一か八か有り得る借金をしない可能性などではなく、確実に借金をまたするだろう様子が浮かんだんだろうな。アニスからしたなら」
「えぇ、私はそう見ました。ただそういったように考えているとは悟らせないようにしつつ両親は文面から元気そうか分かるかと聞いてみたところ、全く元気そうだといった返しにどこかしら複雑さが滲んでいました。ここは借金をしなくなったこともそうですが、本人達がローレライ教団の人間として預言が詠まれなくなったことを思いの外あっさりと受け入れていたらしい事が理由だと見ています」
「・・・それはつまり、熱心なローレライ教団としての顔や気持ちはどこにいったのかとアニスは見たということか」
「私はそう思います」
その返しにジェイドはならとアニスについてに加えて両親も知り得たことを自身なりに話していき、アッシュはその推測に何とも言えないといった表情を浮かべた。






・・・プラネットストームを止めてから三十三年といった時間が経ち、ルークが幻想郷に戻ってアッシュがキムラスカに戻った事にいくつかの違いはあるが概ねは同じようになっていった。ただ一度目にヴァンを倒してそれから復活という流れが無かったため、預言やプラネットストームの復活を求める声に関しては以前より強い状態が続いた。

その事に関してはある程度は仕方無いものとして二人も動いてきた上で、やはりというかダアトがその気運が強いことも理解していた。預言を詠む本場の土地だということから。

しかしアニスの両親に関して言うならそういった様子はなかったというのだ。敬虔なローレライ教団の信者であったというのにである。









.
10/27ページ
スキ