「・・・そういったことからガイの子どもの世話に教育は奥方と使用人達に任せることになり、度々帰ってくるガイについては親だと認識はしてはいるけれどそこで親としての自覚を持った様子もなく、ガルディオスの事を話していたそうです。まぁ流石にルークの事に関しては口酸っぱく言っていましたから子どもを含めた周囲には話してはいませんでしたが、それでもそういった言葉に関してはその子どもも時間が経つにつれて彼にバレないように適当に流すといったようになっていったそうですけどね」
「空気を読むようになっていったというわけか・・・」
「そうなりますが、そういった事を繰り返していく内に子どもはもう自分の意志を持つようになったと判断出来たその後にガイを国内を回る任から解くことになり、グランコクマに戻ることになりました。これはガイ自身もいい加減ゆっくり一つ所に落ち着きたいという意見と、ガイがそこでも目覚ましいと言えるまでの活躍はしていなかった上で子どもも育ったからというので、ならもうグランコクマにいさせてもいいだろうとの考えになったからです」
「そしてその結果として俺達が紫に初めて会った時くらいにはもうガイは半ば引退状態というか、名誉職みたいな立場に着いていたというわけか」
そうして一息ついてからガイがいかな歩みを周囲とのズレを感じないままに動いてきたのか・・・ジェイドが語るそれらについてにアッシュも思い出したように漏らす。一応五十半ばでまだ働けないことはないガイがもう元主といったような立場についていたということを。
「そうなりますが、言ってみればガイからしての目標がガルディオスの復興だったからこそその座に甘んじて着いたといった所になりますが・・・彼からして重要なのは結果が出て以降の事より、結果が出るまでしか考えられないからこそだと見ています」
「結果が出るまで？」
「言ってしまえばビジョンが無かったんです。ガルディオスを復興させたならどういったようにしたいか、復讐が成功したならこうしたいといったそこから先の行動や目標の具体例が。無論それらの目標を達成するのがガイの立場からしたならどれだけ難しかったのかは私も理解はしますが、特にガルディオスの復興に関してはそこから先に自分はどうしたいといった見通しもしておくべきだったと思います。例え自分の事がシンクのカースロットから露呈したからという言い訳をしたとしても、どういった事をしたいかだとかの考えを持つ形でです」
「・・・しかしそれも無いままに流されるままに進んでいったから、お前は結果が出るまでがガイにとって重要だったと見たということか。ホドはもうないし簡単にどこかの街であったりの領主になれないのは仕方無いが、ガルディオスとして復帰出来たんならその名誉を傷つけられるような事がないんなら自分は別に言うことはない・・・といったように流される事を選んだと」
「えぇ、そうです。現にガイは陛下や誰かの命を受けてそれを達成する以外に自分から進んでの発言や行動はありませんでしたし、政治の場で何らかの発言を求められた時も意外性のない当たり障りのない意見に従事するくらいだったそうですからね・・・そういったガイの態度から今となってはもう彼はガルディオスを復興させるまでがピークで、それ以降はそれこそ貴方が言ったようにガルディオスが悪くなるといったような事にならなければそれでいいといったような態度になったというように私は見ました」
「・・・ピオニー陛下達の厚遇があったというか、それも心のどこかでそれは当然だというような気持ちもあったんだろうな・・・だからこそガイは自分からの発信や行動はしなくてもいいと思えた、と・・・」
更にそうなるに至ったガイの考え方はこうだと言ったようなジェイドの話に、アッシュもたまらず脱力気味な様子でそれらに付け加えるように漏らした。ガイの中にどこかしらあった甘えが周りの状況もあってそれが通ってしまったことにより、復興を成し遂げたことで満足して流されてしまってきたのだと。









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