意識の境界に認識のすり合わせ

「貴女が謡将を再び場も弁えず襲う可能性があると言うなら、マルクトに所属している私は貴女がそうすることを知っていながら再びバチカルに混乱を招きかねない人物を連れてきたと言うことになります。その点でお聞きしますが人の家に譜歌を使って押し入り、兄を襲い自分の事を何も言わないような人物を端から見て貴女は信用出来ますか?」
「っ!それは、私を侮辱しているんですか・・・!?」
「侮辱?私はただ聞きたいことを言っただけですよ、こういう人物を貴女なら信用出来るかとね」
「・・・っ!」
ジェイドはそこであからさまに自分を客観的に見て信用出来るかとわざとらしく聞くとティアは怒りに表情を揺らすが、大して怖くないというよう更に挑発的に言葉を向けられより怒りを向けるように睨み付ける。
「・・・この問い掛けにすら答えを返したくないか、もしくは自分は何も悪いこともしていないし迷惑もかけてないと本気で思っているのでしたらこのタルタロスに貴女の身柄を拘束させていただきます。こちらの方に関しては事情をお聞きした上であくまでも害意はないと確認は出来ましたが、貴女は謡将がいるかどうかで変わりますが何をしでかすか分からない恐ろしさがありますからね」
「なっ!?そ、それは不当な拘束です!」
「不当と言いますが、一応はこちらの方には事情を聞いて答えていただきました。ですが貴女は徹底して自らの言葉で話そうとしません・・・こちらとしては貴女が害意を持っての行動ではないと確信出来ていない事から、貴女を放っておく訳にはいかないと考えての事です。マルクトの人間として、ね」
「っ・・・!」
だがジェイドは全く怖くないと呆れを浮かべながらも拘束をすると切り出したことに、ティアは瞬時に杖に手をやるが・・・
「遅いですね」
「っ!?」
・・・コンタミネーション現象を用いて出された槍をジェイドから喉元に突き付けられたティアは驚愕に目を見開き、静止してしまった。迂闊に動けば殺されると嫌でも理解せざるを得ない状況になって。
「随分とやんちゃしてくれますね・・・まぁ分かりやすくて良かったと一先ずは言っておきましょうか」
「っ、わ、私を殺すんですか・・・!?」
「・・・今後の事を考えて一先ずは貴女を牢に入れるだけに留めておきます。ただ一応言っておきますが、もし抵抗したり逃げ出そうとしたなら相応の報いを受けていただきます。いいですね?」
「っ、は、はい・・・分かりました・・・」
そして眼鏡に手を当てながら何もしないなら牢に入れるだけに留めるとジェイドは告げるが、温度を全く感じさせないその声色に完全に気圧されたようになりながらティアは頷いた。明らかに迫力負けしたように。






・・・それで外にいた兵士を呼び出し、ジェイドはティアを連行するように命じた後でまたルークと二人になる。
「・・・想像以上に酷かったですね、あれは・・・流石にあれは私でもそれ以外に言いようがありませんでしたよ・・・」
「まさかジェイドにまで襲い掛かろうとするなんて・・・」
「私もその瞬間は何をしているのかと内心で思いましたが、あれがこちらのティアの本性だと知れたことは収穫でしょう。特に私の脅しにあっさりと屈した姿を見れたことは尚更にです」
「え・・・それってどういうことだ・・・?」
そのまま存分に先程のティアについて頭が痛いと言ったように会話をする二人だが、ジェイドが収穫と口にした言葉にルークは怪訝そうに眉を寄せる。









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