異なる結末と焔の安寧

・・・それはどういうことからそう考えたのかと聞いたピオニーだが、現状でガイが使い物にならないからやっぱりガルディオスとしての復帰を取り消すといったような措置を取れば、却って面倒な事になりかねないからこそ次代に託す事でどうにか貴族達の茶を濁すのが最善とは言わずとも次善の策だとジェイドは返した。それに女性恐怖症もいくらか緩和したとは言えその事情をおもんばかってあまり強くは言えなかったが、貴族として名を残すなら跡継ぎの事を考えなければ色々と面倒な事になりかねない時期に差し掛かってきていると。

その言葉にピオニーも表情を歪めつつも否定を返せなかった・・・ガイは既にその時には四捨五入すれば普通に三十代になる年齢となっていて、貴族として結婚もそうだが婚約すらもしていない年齢としては事情があるとは言え高いと言わざるを得ない年齢にあった。その上でもしガイのその女性恐怖症が完全に克服するまで待つとなってもいつそうなるか分からない上、ガイが子どもを作れないような状態になってしまえば確実にその代でお家断絶を起こしてしまうような人物をわざわざ取り立てる必要などあったのか・・・と言ったような事を代表とした良からぬ声が出てくることが想像が出来たからだ。

その為、ピオニーはならそういう方向で手を打とうと言った。ガイは結婚というより女性と向き合う行為には確実に乗り気にはならないだろうが、それでもガルディオスを復興させてお家断絶に自分でまたしてしまうような事をするのは嫌だろうといったように言った上で、そのサポートと銘打って生まれてきた子どもには貴族らしい立ち居振舞いやら考え方をちゃんと教え込む人員を派遣しようと。

そしてそういったピオニーの行動と説得によりガイも流石にお家断絶にはしたくないとの事で結婚をするということになり、何とか頑張って子どもを作ることに成功したのであるが・・・だからと言って以降のガイは変わったかと言えば、そうではなかったのである。

・・・尚余談ではあるが、その時のガイの結婚相手には気心やらを色々と知っていて距離感も近いティアが候補に挙がったが、それはルークへの気持ちを多大に残しているということから手紙で辞退された。そしてそのティアの返事に安堵したとガイはジェイドに漏らした。結婚相手として見るにはあまりにも距離が近かったという、聞く側からしたら選り好みをしているとも取れる言葉で。

更に余談としてジェイドはこの際だからということでガイの結婚相手についてを言う流れのまま、ピオニーにもすぐに逃げられないような形を取った上でもう結婚することに子どもを作るように早くしろと説教をした・・・この辺りはジェイドも自分の年齢が既に四十になっていることから自分の跡継ぎを見出だして育てている最中でもあったからこそ、ピオニーもそこから逃げるのはいくら若く見えるし鍛えているからとはいえもう年齢的にも立場的にも許されないという考えからであった。

そんなジェイドの厳しい言葉達にさしものピオニーも自分が歳を取っている事実は否定出来ないこともだが、ちゃんとジェイドが後継者を育てているという事実を前にしてようやく結婚をするという決意を固めた。そしてそこから然程時間もかけずに結婚及び子どもが生まれたことにジェイドも安堵したのである。ガイがその時にはまだ色々と四苦八苦していたのを見ていたのもあってだ。






「とは言えそんなガイの子どもは違ったとは聞いてはいる・・・俺は会ったことはないがな」
「それはガイというよりは妻になってもらった人物と、陛下の配置した人々のおかげですよ。もっとも、ガイに子育てを主導させていたら良くない事になっていただろう上で子どもが出来ても変わらなかったんですがね・・・」
そんなガイについての話の中でアッシュがガイの子どもに関してを聞くと、ジェイドは遠くを見るような目で当時の事を思い返す。変わらなかったガイについてを。









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