異なる結末と焔の安寧

「そもそも以前のという点で見れば、ガイはヴァンを倒したという点以外で何か目覚ましい活動をしていたか?」
「いえ、然程目覚ましい物はありませんでしたね。まぁだからと言って役に立たなかったかと言えばそういうことではありませんでしたが、彼でなければ出来なかった公務に仕事があったかと言われればそこは否定は出来ません・・・この辺りは彼が培い学んだ物が従者としての物ばかりだった事は確実にあるでしょうね」
そこでアッシュが以前のガイについてをどうだったのかと尋ねると、そんなに目立った活躍は無かったと言葉にした。貴族としてというより従者としての経験が大きかった事があるからだろうと。






・・・このオールドラントに来る前の元々いた方のオールドラントにて、ジェイドがガイと長くいることが普通になっていたこととその在り方を見てきたことからガイに対してうんざりした思いを抱いていった事はアッシュにも話したが、実際はまだそこには続きというか話していない部分があった。それはガイが戦闘以外の部分で貴族として特筆出来るような能力が無かったというところだ。

ただこれはガイが無能だったと言っている訳でもない上、そもそもピオニーもヴァンを一度目に倒した後と二度目に倒してしばらくするまでは雑用をさせる傍らで色々と教えるような事をしてきた。長らくマルクトから離れていて貴族として顔が売れておらず、実績のないガイを言葉にせずともおもんばかってだ。

しかし氏より育ちと言うが、長い間を復讐の為にとファブレに入り込んで使用人として生活してきたガイは、自分はガルディオスという貴族であるとの気持ちはあってもその立ち居振舞いに能力がそこに付いていかなかったのが大きかった。この辺りはガイがガルディオスとしてマルクトに復帰したならといったその後の事を考えていなかったのが何よりであり、その上で使用人としての生活に浸りすぎていたが故だ。そんなガルディオスだという気持ちはいくら持っていても人生の半分以上をファブレの使用人として動いてきたことから、最早気持ちはともかく体には貴族としてではなく使用人としての立ち居振舞いが一朝一夕には離れない程には染み付いていたのだ。

だからこそとも言えるが、一応ガイはガルディオスとして復帰したし貴族として活動をしていったのだが、ヴァン達を止めた英雄であることにピオニーが気にかけているという事から周りは言葉にはせずとも感じていったのである・・・ガイは貴族としてはよく言ったとしても凡庸、悪く言うなら貴族としての立ち居振舞いやら発言の出来ない存在だと。

そんなガイの様子と周囲の様子についてはジェイドも感じていた上で、時間が経つにつれてピオニーもガイをどう扱うかについて困るといったようにジェイドに言ってくるようになった。流石にアッシュが戻ってきてから二年三年と言ったくらいまではまだ若いであるとかその功績があるとかで目を背けることは出来たが、時間が経っても成長というより改善が見られないようでは貴族として大丈夫だと見るには厳しいと。

そのピオニーの言葉もあってジェイドはどうするかと考えていったのだが、その答えについてはあっさりとすぐに出てきてピオニーにこう進言した。ガイ当人に期待するのが酷なら、次代の子どもにどうにかするようにさせるべきだと。









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