異なる結末と焔の安寧

「・・・一応はナタリアの事はすり替えられた偽物というのは知られてはいないようにはしてきた。しかしベルケンドから脱走した事及びコーラル城というとてもバチカルから遠い地・・・前こそは父上の所有する別荘地でこそはあったが、遠く昔に打ち捨てられた僻地に送られたことにより公然の秘密という形で幽閉及び左遷といったような扱いへとなった」
「その辺りは不思議ではないというより、そういう声に考え方が出てこなければむしろおかしいと言えるでしょう。前はいたのにそういった理由からコーラル城に送られたとなれば腫れ物を扱うような反応になるのは当然です・・・そこを突かないようにするためには公然の秘密にする必要がありますからね」
「まぁそうなるが、ナタリアはそこまでされて度々コーラル城の警備を担当している者からの報告書によれば、しばらくの内は世話役などにどうにかならないのかと弱々しく話し掛けたり嘆願はしていたらしいが・・・その辺りに関してはよく言い含めた人員を派遣していたから、下手な希望を持たせないように事務的な態度を心掛けさせていたのも大きかったのだろう」
「下手な同情というか理解出来るといった対応を取れば、彼女は確実にその人物へどうにかしてほしいとすがっただろうというのは想像出来ますから妥当でしょうね」
「まぁそうだが・・・それでもナタリアはどうにかならないかというように度々言ってはいたそうだが、その声が止んだのは俺の子どもが生まれたという連絡を耳にしてからだそうだ」
「まぁ貴方と結ばれる以外にナタリアが他の誰かと結ばれたいなどと思わないですし、同様に貴方が他の誰かとなど結ばれてほしいなどと思いたくも無かったでしょうからね。そんな中で貴方が他の誰かと結婚した挙げ句に子どもまで作ったとなれば、自分との約束はどうなったのかということどころかもう自分の事は捨てたのか・・・と絶望しただろう光景は想像出来ますね」
「俺もそうは思うが、キムラスカの王族の血を絶やさないようにすることにナタリアと結婚しない事を考えるなら他の誰かとの結婚及び子作りはどうしてもやらねばならないことだったからな・・・悪いことをしたという思いも無いとは言い切れんかったが、それでも必要な事だったと割り切ったがな」
そうしていかにナタリアに対して行動してきたかにどう見てきたのか・・・二人はその事についてを深く語っていく。






・・・アッシュ達から厳しい言葉をかけられたナタリアはしばらくの時間をまたベルケンドに送られて過ごした後、リフォームの住んだコーラル城へと送られた。

ただリフォームとは言ったが実質的にナタリアを閉じ込める屋敷兼牢獄のようなものという役割の為、下手に行ける場所を増やさないようフォミクリー装置のあった場所に繋がる通路のある扉から先は使うようにはせず封鎖して、居住区のみを綺麗に使えるようにした上で人の出入りに関してナタリアが抜け出さない事を前提にする為に入口以外の場所には高い壁を作った。勿論見張りの兵士を入口に置く形でである。

そんな場所で暮らすことになり元々は意気消沈していたナタリアは、徐々に落ち着くのだがそのコーラル城の様子に自分を逃がさない為の措置なのだと流石に感じていったのだが・・・それでもコーラル城で暮らさざるを得なかった状況を覆す事など出来なかった為、そこに不満やら抗議やらの言葉をインゴベルトに向けることなど出来ないと生活していく事にした。









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