帰るべき場所、一つとなる焔

「・・・そしてそういった経緯を経た上で俺達はお前を手助けするためにここに来て、全てを無事に終わらせる事が出来た。昔の俺なら意地を張ることもそうだがお前の為になどとシャクだといったような言葉を吐いて快くない想いでいたんだろうが、今はもう違う・・・こちらの『ルーク』のことこそあれど、今こうして俺とお前が向き合えて無事に二人とも別れの挨拶を交わせることを俺は嬉しく思う。だからこそ言わせてほしい・・・すまなかった。そして後は俺達に全て任せてそちらでゆっくりと暮らしていってくれ。そうなってくれるならもう俺に望むことはそれ以上はない」
「はは・・・ゆっくりと暮らせるかどうかはちょっと異変が多いから保証は出来ないけど、それでも幽々子達に見放されないようにはちゃんと暮らしていくよ。それと俺も望むよ・・・アッシュ達が無事に生きていけることを」
そうしてアッシュが自身の考えを述べていく中で微笑を浮かべながら手を出し、ルークもまた微笑を浮かべ返しながら手を出してその手を握り返した。前だったなら絶対に有り得なかった穏やかでいて、心の底から分かり合えているようか様子で。
『なら最後に我からも簡単にではあるが、改めて言わせてもらいたい・・・都合があったからとは言え、そなたらのおかげでこのオールドラントは預言に詠まれた未来から離れていくことになるだろう。だから礼を言う・・・感謝しよう』
「あぁ・・・ただこの辺りはジェイド達に聞きたいんだけど、元々いた方のローレライも音譜帯に行った後はもう下にまた来るようなことは無かったんだよな?」
「えぇ。向こうのローレライからして預言から外れた未来になっていく事から自分が関わらないようにしたんでしょうが、だからこそ我々が紫に連れていかれる光景に関しても黙って見ていたと思いますよ」
「まぁその時の俺達はもう後進に後を任せていたのもあり、あちらのローレライからして俺達を是が非でも止める理由もなかったから何もしなかったのだろう。そしてこちらのローレライも同じようにもう静観するつもりだろう?」
『その通りだ。先に言ったが音譜帯に昇ったなら我はそこでオールドラントの行く末を見守るだけにもう留める・・・そちらの我同様、どういったことになろうともだ。ただその辺りはそなたら二人のやってきた実績があるから、然程心配はしていないがな』
「そう言っていただけて光栄です」
そして最後にとローレライからの言葉にルークが頷く中でどう自分達の方がしていたのかについてを聞くと、ジェイドにアッシュの二人が返した答えに自分も同じことをするが信頼しているからとの答えにジェイドは頷いて返す。
「・・・もうよろしいですわね?では帰るわよ、ルーク・・・私達の幻想郷に」
そうして全部終わったと見た紫が微笑と共に扇子を持った右手を横に振ると、そこにスキマが開いた・・・幻想郷に戻るために開いたスキマが。









安定を得るために始められた二度目の旅の終焉



別れを以て新たな始まりとなる



二つの別れが新たな始まりと



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