帰るべき場所、一つとなる焔

「・・・ここで待ってたのか、紫?」
「えぇ。というより入口辺りに神託の盾の船があったでしょう?私は彼らにここから退場してもらうために動いたのよ」
「やはりか・・・」
その紫の元に近付いた三人の中でルークが話し掛ければ、ここにいた理由をそのままの笑顔で返す様子にアッシュは納得の声を漏らした。神託の盾がいなかったのは紫の行動によるものだったのだと。
「あら。一応言っておくと謡将が率いていた神託の盾に関しては捕縛した状態にして、セントビナーの軍の駐屯地の前に置いてきただけですわ。貴殿方が何を思われたかは分かりませんが、嘘だと思われるなら後で確かめてくださいな」
「・・・貴女が確かめるようにとまで言うのなら嘘ではないのでしょうが、何故わざわざそんなことを?正直な所、貴女に得があるように思えませんが・・・」
「あら、得なら彼らを倒す事に貴殿方が手間取る時間を省くためですわ。貴殿方三人なら彼らを倒すことは十分に出来たでしょうが、数はそれなりにいましたし謡将達の敵討ちという気持ちに加えてもう彼らには彼らをまとめる誰かも残っていない身・・・玉砕覚悟で来られたなら貴殿方でも不覚を取る可能性も否定出来なかったと思いますわ」
「・・・確かにそう聞けば、我々三人だけで戦っていたなら大丈夫だったとは言い切れなかったでしょうね。そしてそういった事に手間取る時間を省きたかったから、貴女は先に動いたということですか」
「そういうことですし、謡将率いる神託の盾はそのセントビナーに置いてきたので全員ですから対応さえ間違えなければこれから何か起きるということは無いはずです」
「・・・そこまでしていただいた事にはこちらとしては感謝させていただきますが、流石にそちらの都合やらがあるとは言えここまでしていただかれると申し訳無いですが・・・」
「気にしないで結構ですわ。こちらも貴殿方二人にはルークを助けてもらった事がありますから、これくらいは貸し借りなどといったことは言いませんから」
「・・・そう言っていただけて幸いです」
紫はその様子に余計なことはしていないといったように話をしていきジェイドが本当かどうかを確認しつつ話していくが、上品でありつつどこか信用ならないといった笑顔と話し方にそれ以上は踏み込まずに軽く頭を下げるに留めた。のらりくらりとした様子を見せる底の見えない紫にこれ以上真意を探る会話をしても無駄と見切りをつける形で。
「・・・取り敢えず神託の盾についての心配はいらんというのは分かったからこれで後は下に行くだけだが、お前も付いてくるんだな?」
「えぇ、それは。ルークを連れ帰る為にここに来たのですからね・・・まぁ取り敢えずは下のプラネットストームを構成する譜陣の所に向かいましょう。貴殿方も時間に余裕があるようにはしては来ているのでしょうが、ここで立ち話をしていても何にもなりませんからね」
「・・・そうだな、そうするか」
それで続けてアッシュが一緒に来るのかを確認すると、肯定しつつ早々と次にといった返しをする紫に頷くしかなく一同は更に下を目指すべく歩みを進めていく。






・・・そうして然程時間をかけることなくルーク達はプラネットストームを構成する譜陣の元へと辿り着いた。









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