帰るべき場所、一つとなる焔

・・・アッシュは最後のエルドラントでの戦いの前にルークからそれまでと変わった様子を見せられたことに動揺したままエルドラントに突入し、エルドラントでルークと戦ってようやくルークの事を振り切り・・・一人で戦い、死ぬことになった。

その事自体はアッシュはもう受け入れている上で、あぁしなければ先にルーク達が行けなかったことを考えれば必要な犠牲だったとも理解している・・・だが自分が納得済みで死んだと言うのに、時間がかかってとは言え大爆発によってルークに乗っ取られるのではなく自分が主人格となってルークの体と記憶を乗っ取ったことに・・・様々な意味で自己嫌悪にアッシュは陥った。一体自分は何をしてきたのかという気持ちになって。

しかしそれでも一度死んでいた自分に、音素が体から失われて最早消えてなくなる身だったルークが三年の時間をかけて一つになって生きれる状態になった・・・これがどれだけの確率による物なのかなどアッシュには分からないが、簡単に言うだけでも奇跡と呼べることだとは理解出来た上で、奇跡により拾い上げた命でありルークの記憶や想いを取り込んでしまったことから生を放棄するような気持ちにはならなかった。自分はルークの為にも生きねばならないという考えからだ。

そうしてアッシュは大爆発を終えたことにより自分の生存を伝えに行こうとしたのであるが、そこがタタル渓谷に近い場所でありジェイド達がいたことから顔を出したのだが・・・その時には正直な所としてジェイド達に会えて嬉しいという気持ちは無いではなかったが、それ以上に何か自分とティア達にズレをアッシュは感じていた。自分とジェイドを除くティア達には何か違いがあるのではないかと。

現にジェイドがアッシュから話を聞いて大爆発によりルークと一つになって戻ってきた上でルークのことはもう諦め、口にするようなことがないようにしようとジェイドが話した時・・・ティア達がそれは嫌だとかどうにかならないかというようにごねる姿を見て、理屈じゃ理解は出来ても感情では理解出来ないといった類いの物からの発言と似ているようで何か違うと感じたのだ。尚更にどこかズレていると。

しかしそれでも自分が帰ってきたことには喜んではくれたし、一応はそう決まったことだからということでバチカルに早くその姿を見せに行こうとアッシュはティア達と共にバチカルに向かうのだが、その道中で一人になって周りには誰もいなくなったタイミングでジェイドに話し掛けられた上で回りくどくそうした理由を告げられると・・・その言葉に納得すると共に自然とルークに対する気持ちや考えを口にしていたことに気付き、そして理解したのだ。前の自分はティア達同様ルークの存在に頼っていると思わない形で頼り、そしてその存在が無かったら自分という存在の維持が出来ていたかすら怪しかったということに。

・・・それで同様にティア達もそうだったのだと理解したが、だからと言ってそれを伝えた所で今更その気持ちに考えが改善されるのかとジェイドに聞いてみれば・・・まず有り得ないとの断定が返ってきた。確かにルークがいたからこそ助けられたという部分があったことまでは認めはするだろうが、そこから先の話として自分の罪やら考えやらをルークに色々と押し付けるような事をしていたと認めたなら、その分全てを自分が抱え込むことになるというのを避けるためにもその事を否定するだろうと。

そういった言葉を聞かされた上で下手にこの事を言っても何にもならないのは目に見えているから自分達の間でこの事は黙っていようというように言われたアッシュは、そうするとすんなりと頷くと共にティア達と自分達は違うと線引きをするような形で接していったのだ。ルークに対しての考え方に捉え方が違う相手として・・・









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