帰るべき場所、一つとなる焔

「・・・分かった。そこについてはちゃんとするように考えてはおくけど、そもそもどうして今ここに来たんだ?その理由を何だかんだで聞いてなかったから、何かあるなら聞いときたいんだけど・・・」
「最初に言ったでしょう?何故このタタル渓谷を選んだのかについてを聞きに来たの・・・と言っても本当は貴方がここが平行世界のオールドラントとは言え、未練が残ったのではないかという危惧をしていたのだけれどね」
「あぁ、実際は俺の本心を見定めに来たって所か・・・まぁそんな心配はしなくても俺は戻るよ。ただその前にこっちの俺と向き合う時間が欲しかったからってのもあるから、セレニアの花畑の所でゆっくり二人きりで話がしたいんだ」
「あら、まだ彼と話はまとまっていなかったの?」
それで話をルークが元に戻してどうなのかといったように進めていくが、その中で出てきた言葉に紫が珍しく意外そうに目を瞬かせる。話は済んでいる筈ではというよう。
「もう俺に体を譲るっていう結論は変わってないし、気を使わなくていいって言われたよ・・・けど残る時間で何か出来ることがないかって思ったのもあるし、もう今の時点で俺がこのオールドラントでやることっていうか下手に何かして俺がいたって印象付けない方がいいって言われたからな」
「・・・そう考えれば確かに貴方には時間があるから、何をしようかってなった時に思い残しがないように話をしようとなった訳ね」
「そういうことだよ・・・だから有意義な時間の使い方っていう言い方はあんまり良くないと思うけど、二週間後の別れが来るまで俺はこっちの俺と向かい合いたいと思う・・・そしてその上でラジエイトゲートに向かって、このオールドラントと別れを告げたいんだ。それがせめてもの俺からこっちの俺に対して最後に出来ることに、もうオールドラントに戻ることのない俺の最後の過ごし方だと思ったからさ」
「そう・・・やはり貴方らしいわね、ルーク」
だがルークが自分の胸に手を当て目を閉じながら真剣に考えを口にしていく様子に、紫は納得したとまた微笑を浮かばせると同時にその背後にスキマが開いた。
「そういうことなら残り二週間ほど、ゆっくりとしなさい。貴方ならこの辺りの魔物に遅れを取ることはないのは分かっているから、心残りのないようにね」
「あぁ・・・じゃあ二週間後、また」
「えぇ、また」
そしてそのままスキマの中へと入っていきつつ紫が笑顔でゆっくりするように言い、ルークも言葉を返すと紫はスキマを閉じてその場には最初からルーク以外いなかったような状態に戻った。
「・・・さて、セレニアの花畑の所まで取り敢えず行くか」
そうして一人になった所でルークはタタル渓谷の奥へと歩いて行く・・・






・・・それで然程道が険しくないのもあるし、何度も通ってきた道を間違えることもなくルークはセレニアの花が広がる花畑までやってきた。
(・・・ここから俺の、いや正確に言えば俺の元だった『レプリカルーク』の旅が始まった・・・そしてラジエイトゲートが最後の場所なことに変わりはないけど、気持ちや区切りとしてはここで俺の旅は終わる・・・忘れられることになった『レプリカルーク』から生まれた俺の旅は・・・)
(『そして幻想郷に戻る、と・・・』)
そこで花畑のセレニアを踏まないように花畑の入口でその光景を目を細めて眺めながら、そっとルーク達は会話をしていく。これからの二週間の為のきっかけとして。









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