帰るべき場所、一つとなる焔

「この数ヶ月、貴方のいない幻想郷というか白玉楼に顔を見せに行った時は貴方がいない理由は分かってはいても、少し物足りなさを感じていたわ。と言ってもそれは妖夢もそうだろうけど、何より幽々子は貴方が早く戻ってこないのかと白玉楼に行った時には私にいつも詰め寄ってきたわ。まだなのとね」
「・・・そう聞くと申し訳無いって思うよ、ホント・・・」
「貴方を存在させる為にこうしているのだから、気にすることはないわよ。そして貴方や他の幻想郷にいない幻想入りした人物達が数多いるからこそ、私達の幻想郷は他の幻想郷とは違う形で存在しているのだということも理解しているのだから」
「・・・このオールドラントを探しだす為に色んな平行世界を巡る中で、平行世界の紫達が作った幻想郷についても確認してたんだったけか・・・」
そうしていかにルークの存在があることについての想いがあるのかを語る紫だが、その中でルークは前に聞いた話についてを思い出す。別の幻想郷があるということを。






・・・こうして平行世界のオールドラントに来ているルークだが、紫がこのオールドラントを探しだすまでに平行世界の幻想郷をいくつか見付けたことも報告を受けていた。そしてそこにはルークも知るほとんどの幻想郷の面々が揃っていたが、ルークを始めとして幻想入りを果たしていない知り合いが多々いたことも。

その事に関してルークは驚きを浮かべたが、紫はむしろ当然とばかりの様子で語っていった。平行世界という物は同じような世界であっても何かが違う枝分かれした世界のようなものであり、その違いがあるからこそ平行世界になるのだと。






「そう。そして貴方は私達の作り出した幻想郷に幻想入りし、他の幻想入りした者達同様幻想郷の住人となった。そんな貴方は他の幻想郷とは違う幻想郷の住人として得難い存在なのよ。と言っても私の話を聞いた幽々子の方が強くそう思ってるのは本人に聞いているけれども、ね」
「あぁ、他の幻想郷にも幽々子はいるんだったっけか。それもほとんどの場合で」
「えぇ。そしてそこには貴方の存在がないというのがほとんどの普通でいて、妖夢以外の他の目立った誰かが白玉楼にいないのが通常というのが大抵の他の幻想郷・・・そう私から聞いて知った幽々子は他の私はどうであっても、この私が隣にいてほしいと思える殿方はルーク一人・・・そう言っていたわ。他のどの私がどんな風に過ごしているかは分からないけど、ルークがいなくなった自分の事を想像出来ないからとね」
「はは・・・何か白玉楼に戻ったらマジでしばらく幽々子が俺を離してくれそうにない気がしてきたな・・・そう聞くと・・・」
その声に肯定を返した上で話を続けていく紫は幽々子の想いの強さがどれだけの物かを語っていくのだが、ルークはその中身に苦笑いを浮かべる。自分がどれだけ戻った時に幽々子に構われるのかと考え、相当になるのが目に見えていると。
「それくらいは殿方の度量として受け止めなさいな。それにこちらに来る前に後二週間ほどで終わると幽々子には伝えているから、その時がようやく訪れたのねと分かりやすく目を輝かせていたからそれを反故にするようなことをするのかしら貴方は?」
「そんなことはしないよ。ただ妖夢には大分迷惑をかけるだろうとは思うから、そこだけはどうにもな・・・」
「妖夢には気の毒だけれど、私としても幽々子の機嫌と秤にかければ暴走されたらたまったものではないから、あの子には我慢してもらうしかないという結論を出すし妖夢も自分が我慢すると言うでしょう。だから幽々子の機嫌を良くする方に集中して頑張ってちょうだい、ルーク」
「・・・確かにそっちの方で頑張って早目に幽々子を落ち着かせる方が妖夢の為にもいいか・・・」
紫もそれは分かっているからちゃんと相手をするように言えば、ルークもそうすると頷くしかなかった。幽々子は表面上分かりづらいが、いざとなった時の行動力に感情の爆発はとんでもないことは前の異変で重々承知しているため、そんなことにならないようにするために自分が頑張るしかないのだと考え。









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