定まり見据える未来

(『・・・また呑まれてるって感じになってるけど、これって今のこいつだから言えてる事なんだろうな・・・特に話に聞いただけだけど、一回目にアブソーブゲートで戦った後の一ヶ月程はダラダラ過ごしてたって事を思い出すとな・・・』)
ルークの話に完全に場の空気は染まってしまっている・・・その中で『ルーク』は今回の体験というより、前回の体験からだと感じていた。特にお膳立ての辺りに。
(『・・・前はオッサンの暗示のせいでアクゼリュスを落としてユリアシティで倒れて起き上がってからティアに人形みたいに言われたってことだけど、俺の立場から言わせてもらったら状況がこうなったからお前はどうするんだみたいに考えた結果としてそれを選んだってのに、それを人形扱いなんていうのはお前こそ状況が見えてねーだろってのもあるけど、人形じゃないしレプリカでもないお前が状況に揺るがされず選んだ行動が何かっつったら大層に言いはしたけど、結果としちゃ何も行動しねーってもんじゃねーかって感じんだよな・・・内心じゃオッサンはやっぱり行動を起こしたことに対してショックだったからとかっていう気持ちもあったりしたんだろうけどよ・・・』)
その上で思い出されるのは対比するようルークが以前にティアから言われた言葉に関してであるが、今となって考えてみたなら人に対して偉そうに言えるものかという気持ちを『ルーク』は抱いていた。少なくとも倒れていたルークを世話するという目的があってユリアシティに残っていた訳でもなく、ほとんどを占めていたのはヴァンに対する考えで頭がいっぱいであり・・・内心として実際の所は余裕などなく、自分の事を棚にあげる形で八つ当たりのようにルークに厳しい言葉をかけていったのだと。
(『・・・ティアの事についちゃともかく、そんな風に進んでいく場面や状況に対して色々と選んでいかなきゃなんなくなって、それで一回目にオッサンを倒して一ヶ月くらいはそうして暮らしてまたオッサン達が実は生きてたって事から事態は動いていって・・・最終的に障気を消すことを選んだ上でその時は生き残りはしたけど、いずれ体が消えてしまう以外にない状態になってそれでも動いていった・・・俺じゃない俺がやったことだって分かってても、それがどれだけのことだって感じるのは当然だと思う・・・本人はその時は自覚とか無かったんだろうけど、その時の事を冷静に思い返した上で想いを乗せてまとめられた言葉ってのがこの場にいる全員に伝わるのは当然だよな・・・』)
ただそこでティアの事について考えが行きすぎたと方向修正をする『ルーク』だが、ルークの生涯が苛烈でありそれらを感じさせる想いを受ければこうなるのも当然だという気持ちになっていた。そして何とも言えない想いを自身も抱くのも。



「・・・話を戻しますが、ピオニー陛下にイオン同様に面倒を見るというように以前声をかけていただきましたが・・・そういうことですので辞退致します」
「・・・分かった。お前の決意が固いのは今の話で十二分に理解したから、引き留めるのは野暮という物だろう。しかしそれでお前はいつにアッシュと一人に戻る予定でいる?」
「ローレライが音譜帯に昇る際にそうする予定でいます。それまではゆっくりと気持ちを落ち着けようかと思います」
「・・・そうか、分かった。俺からはそれ以上は何も言わん」
・・・それで沈黙の漂う場の空気の中で自ら発言したルークにその対象となったピオニーが受け答えするのだが、既に覚悟は済んでいるのならとただ事実確認を少しして重く小さく頷くに留めた。もう余計な事は言わないと。









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