定まり見据える未来

『話は決まったようだが、ダアトはどのようにする?』
「・・・どのようにも何も、こちらとしてもそうする以外にないと思っています・・・むしろこちらは預言を詠めない環境にならなければ、いつまでも預言を求める人が居続けて預言士もその為に影で預言を詠むと言うことも有り得ますので・・・」
「詠師トリトハイム・・・そんなことが有り得ると言うんですか・・・?」
ローレライはそこで残ったダアト側にどうかと聞くとトリトハイムは反対しない方がいいと語るが、イオンはその中身に初耳だというようにそうなのかと問い掛ける。
「可能性としてそんなことは起き得ないと否定するにはあまりにも無理があると私は思っています。これは預言士を仕事として真摯に向き合ってきた者も、預言士という立場を利用してきた者も大多数が預言を詠む事を密かに続けるかと思われます」
「・・・真摯に向き合ってきた方はともかく、利用してきたとはどういうことですか?」
「ダアトでは確認は取れなかったのですが、各地に配属される事となった預言士の中には預言を詠む事に対して本来であれば望まれないような預言の詠み方をして、違法にその預言を詠んだお金を取っていたという輩についてを度々報告を受けていたのです。それもちゃんとした手順を踏んだ時に詠んだ預言よりも高い値段を要求する形でと」
「なっ・・・ほ、本当なんですかそれは!?」
トリトハイムはそこで預言士の行動についてを話す中で悪辣なやり方で動いていた者がいるとの報告があったと言葉にし、イオンはたまらず信じられないと声を荒げた。
「残念ながら本当です・・・そんな事をしていると報告がされた預言士に関してダアトに呼び出し調べをしていくと、大抵は揃って詠んで欲しいというから詠んだのであって本来の業務から外れた時に詠んだのだからそれくらいの金は取るのは当たり前だ・・・と言ったよう悪びれることなく、むしろ当然と言ったように返す輩ばかりだったと報告を受けています。そういった輩は自身がローレライ教団の預言士としての立場に驕り、そしてそれをいいことに様々に望ましくない行動をしていたと」
「横入りするようで申し訳ありませんが・・・かつての大詠師を規模としては小さくしたような預言士が存在していた、もしくは今も存在しているということですか。自分はローレライ教団の人間なんだとその権威を利用するような形で」
「はい、認めたくはありませんがそうなります・・・ですがそんな人物もそうですが真摯に活動してきた預言士も預言が詠める環境にあれば、闇に紛れる形で預言を密かに詠み続ける事が想像されます・・・そのようなことを認めればいずれそれらの人物は影で行動するだけではあきたらず、大詠師の意志を受け継いだような都合のいい預言は詠まれるようになるといった名目を上げる新たな預言保守派が誕生しかねないとも・・・」
「・・・成程・・・そういった事が起こる可能性があると考えれば、確かにそちらとしてはそういった事態にしたくないと考えるのは当然だな」
その声に首を横に振りつつその人物達がいかな態度だったのかにどんな危惧が有り得るのかとトリトハイムは語っていき、ピオニーは一同を代表する形で途中で口を挟んだジェイドも加わる形で納得と言ったように頷いた。預言を詠める環境の継続はダアトのこれからとしては一番問題になりかねないと。









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