定まり見据える未来

「ただその辺りに関しては俺がキムラスカに戻るとした以上、ルークに何らかの役割を任せる可能性は相当に低いだろう。その上で何を求められるかと言えば、大いに有り得るのは俺に何かあった時の為の予備として人知れず待機してもらう事だろうな」
「あ~・・・この辺りは流れもあって俺があんまり表立ってレプリカだって言われてないのもあるけど、あんまり心地好くないのを承知で言うならアッシュがまた心変わりを起こすんじゃないかっていうもしもの保険も含めてってとこか・・・」
「・・・そうだと言いたくはないが、俺が手放しで信頼される程に甘くはないだろうというのは確かだ。しかしそれを置いておいてもやはりルークにキムラスカの上層部が求める物が何かと言えば、屋敷で七年間生活していたその様子もあって政治に参加出来るレベルにあると思えないことから、そういったような保険としての役割が求められるだろう。叔父上や父上はともかくとしても、周りの貴族達が俺の事を疑問視するのも相まってだ」
「・・・何とも言い難い気持ちになるけど、否定が出来ないんだよな・・・」
その上でルークに求めるものが何かと言えば、アッシュの保険・・・そう語るアッシュに、ルークも理解は出来るがと何とも言い難そうに表情を歪める。
「・・・あくまで可能性だから、確実にそうなるとは限らなかっただろう。しかし政治として考えるならそういった保険は必要だと考えるべきであると共に、王族の王位継承権の事を考えれば俺がいてルークがいての二人共にいるというのは望ましくないと見る可能性は大いに有り得ただろう・・・言い方を選ばずに言うならいきなりフォミクリー技術により産み出された偽物が、手柄を得てだとか心情的にといった理由からで王族に迎え入れられて王位継承権が与えられるなんてのは望まれる事ではないとな」
「・・・だから俺には王位継承権がないまま、それでいてもしもの時の代わりになる時くらいしか俺がまた表舞台に立てる時はなかった可能性が有り得たってことか・・・」
「大方の予想ではあるが・・・ある意味では俺自身皮肉に感じるくらいだ。前はヴァンの口車に乗ったからとは言えその逆恨みから行動したからルークがキムラスカにいれたのに、そういった逆恨みもなく自分が戻ると決めたならルークの居場所に生き方を狭めるということになるというんだからな・・・」
「アッシュ・・・」
更にアッシュはそれらの可能性についてを深く掘り下げるように話していくのだが、自分の行動もあってそうなる皮肉さを嘆くような様子にルークも表情を歪めるがすぐに表情を引き締め首を横に振る。
「・・・大丈夫、他の世界線なら分からないけど俺はそろそろ幻想郷に戻るんだ。だから俺の事は気にしなくていいんだよ」
「・・・あぁ、そうだな。少し考えすぎていたようだ。悪い」
「気にしなくていいよ」
そのままルークが口にした言葉にアッシュも気を取り直し、軽い謝罪を向けられ笑顔で頷き返す。もうそこについては考えることじゃない、ルークにはもう幻想郷という居場所があるのだからそこを深く考える意味はないと互いに理解して。





















・・・そうして数日の時間をルーク達はゆっくりと過ごしていき、予定の出立の時間が来たことでインゴベルトに公爵に何名かの兵士と共にバチカルからアルビオールで飛び立った。目的地であるユリアシティへと向かう為に。









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