「・・・もしやピオニー陛下、本当はその話をしにここまで来たのですか？」
「隠していても仕方無いから言うが、その通りだ。こちらとしてはお前らに世話になった上で、先の話に出てきたガルディオスの生き残りに関しては確実にこちらの為になったというか、行動を潰してくれたという恩もある。少なくともその生き残りが正体も明らかにならないままに今のような流れになっていたなら、時間が経てば経つほどヴァンが死んだということもあって行動を起こす可能性は高まっていきいずれ爆発していたのは目に見えている。まぁそちらとしては始めからそうするつもりだった訳ではないだろうし、恩着せがましく言うつもりもないだろうが・・・少なくともこちらからすればそんなガルディオスの生き残りを拾い上げるよりは、ルークを助けるのは全然いいだろうと思って提案をしに行くのも悪くないと思ってな」
アッシュはそんな発言から目的は元々それを言いにくる事かと聞くと、ピオニーはその通りだと自身の考えを微笑を浮かべながら認める。
「・・・陛下の気持ちはありがたくは思いますが、少し考えさせてください。いきなりの話で驚きましたし、首脳会談までまだ時間がありますのでそこで結論を出します・・・」
「・・・そうだな、分かった。今日すぐにというのは急ぎすぎだとは俺も思うから、それでいい。まぁ取り敢えずそういうことで伝えたいことは伝えたから、後はゆっくり考えるようにしてくれ。じゃあな」
対してルークは少し難しげな表情で考える時間をと言い、ピオニーも笑顔を深めて頷いた後に部屋を出ると足早に出ていく。






「・・・はぁ、嘘をつくのは気が引けるな・・・」
「幻想郷という場所に帰るなどと馬鹿正直に言えるはずがないのは分かっているからこそだろう」
・・・そうして二人だけとなった場で何とも言い難い様子になるルークに、アッシュもフォローを入れる。
「まぁそれは分かってるけど・・・ピオニー陛下に嘘でもそうするとかって言ってたら、問答無用で紫にとんでもない目に合わされる可能性が有り得そうなんだよなホント・・・」
「・・・もしや今も俺達の会話についてを伺っているのか？」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないからな・・・というか俺っていうより幽々子の為に早く連れて帰るようにって様子を伺ってる可能性が高いんだよな、今・・・」
「一刻も早く連れて帰る為、そして終わりが近いと見ているからか」
「まぁ実際首脳会談が終わればほとんど終わったような物だとは思うけどな・・・」
そうして会話をしていく二人は紫の事を口にしつつも、ルークは何とも言い難そうな表情を浮かばせた。
「・・・言い方的にアッシュからしたら苦い気持ちになるだろうってのは分かってるけど、前にこんな風になってたら良かったって思うんだ。勿論ティアやガイとかちゃんとした別の形で決着がついていたら尚更良かったと思うけどさ」
「・・・確かに前の俺にこちらの俺だったなら、ルークや他の面々との同調など出来るはずも無かっただろうな」
「悪い、こんなことを聞かせて・・・」
「いや、いい・・・俺もあの時は余裕が無かったと言うだけでは留まらなかった事ばかりをやってきたし、話も聞かずに特攻ばかりしていたからな。前の俺では到底キムラスカに戻るなどと言わなかっただろうし、こちらの俺では尚更だったことだろう。ヴァンを倒した事でお前らとの縁はこれで切れた、もう二度と会うこともないだろうとどこぞに消える形になってな」
「・・・何となくガイにティアは予想はついたけど、こっちのアッシュが俺達についた時もある理由って何なんだろうな？ちょっと俺はキムラスカやナタリアの事からっていうだけじゃなんかしっくり来ないんだけど・・・」
「そこか・・・」
そんな二人の会話はルークからしてまだいい結末についてから、こっちの『アッシュ』がどういう事からヴァンと敵対する理由を持ち得たのかという話になってアッシュは少し眉を寄せる。











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