片隅に追いやられた難事

「・・・もういい、大佐。そいつらを連れてさっさとここから出てってくれよ。これ以上もうこいつの話について聞きたくないからね・・・」
「・・・そうですね。もうこれ以上話の発展のしようもないでしょうし、この辺りで終わっておきますか」
「っ!ま、待ってくれ!お、俺はこのままで終わりたくない!」
そうして吐き捨てるようにしながらも何とも言えなさそうな表情を見せるノワールにジェイドも眼鏡を押さえながら頷くが、ガイがたまらず待って欲しいというように焦りで声を大きくする。
「・・・なぁ。俺から言われたくねーかもしんねーけど、待てっつーだけ待ってもらってそれでなんもなしは筋が通らねーって以上に、今失望されるよりもまた更に失望される事になりかねねーんだぞ。なのにそれを承知した上でってのもそうだけど、本音を言って引かれる可能性みたいなもんをお前は考えてそれを言えるってのか?」
「っ・・・そ、それは・・・」
だがルークがその様子を見ながら投げ掛けた疑問の声に、ガイは途端に視線をさ迷わせた。
「・・・どうやらルークの言葉に尻込みしたようだな。俺達はもうともかくとしても、ノワール達ホドの生き残りを前にして失望されたくないとな」
「ですがそこでそれでもと本音を言えないとなるなら、もうこのまま終わっておいた方がよいと思いますよ。その方が貴方も無理をしなくて済みますし、少なくともより一層の失望もされなくなりますからね」
「っ・・・!」
その様子にアッシュが理解してジェイドが止めておくようにと助言を向けるのだが、ガイはその言葉に反論が出来ずにただ苦々しい表情を見せながら歯を食い縛るだけであった・・・


















・・・そうしてガイが否定も何も返せなくなった様子にもう話をしても仕方無いということから、ガイはフリングスとヨークにウルシーの三人で先にマルクトの領事館に連れられて行くことになった。先に、である。



「・・・なぁペール。俺に言われたくねーってのは承知で言うけど、あんな風になったのってお前から見て本意だったのかよ?そんな風には見えねーけどよ・・・」
「・・・その事につきましては、私としても申し訳無く思っています・・・あのように何も言えないまま終わらせような形になったことに・・・」
・・・そう、まだペールを残していたのである。
ガイがいなくなった所で早速と質問を投げ掛けるルークに、ペールは体を縮こまらせながら懺悔をするような言葉を口にしていく。
「・・・貴方のフォローの為にというだけではないのですが、あれは元々彼が持ち合わせていた資質が大きかったのではないのですか?謡将がその資質に自身の目的もあって、拍車を大きくかけていたのではないのかということも含めてです」
「ヴァンが拍車、ですか・・・それが全く無かったかと言われれば、確かに否定は出来ないでしょう・・・ファブレに入り込んで初めて謡将としてのヴァンに会って以降、三人集まって話し合うのは奇妙だから怪しまれないようにと私は二人が話をする時にはその場にはいないか発言をしないのが普通でした・・・そしてそうしていく内にガイラルディア様は慎重を期する為といったよう、よりあのような形で振る舞うようになっていき・・・」
「そして結果として、あぁなった訳ですか・・・本音を明かすことが出来なくなり、面子を気にするようになりろくな発言も出来なくなるばかりと・・・」
「・・・はい、そうです・・・」
ジェイドが続けてヴァンも理由ではと口にすると、ペールも有り得ると口にしていくが更に落ち込んだように頭を下げる。自身の非はやはり感じずにはいられないというよう。










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