片隅に追いやられた難事

「ですがそれはもう今となっては必要ない態度の筈なのに、貴方は未だそういった態度を貫いている・・・その様子から貴方は我々に対して心を開いていないというのもそうですが、同時に貴方は最早他のよく知らない誰かに本音を明かすことが出来なくもなっていったのでしょう。そうして近付けたくない誰かを遠ざける事に慣れてしまい、最早本音を言わないことに慣れてしまう形でです」
「・・・それは・・・」
「正直、否定出来ないでしょう。というかモゴモゴとするばかりのその態度に関しては、もうこちらとしては飽き飽きしているどころではありません・・・本音を言う気がないのであれば最早口を閉じてくれていた方がありがたく思います。その方がもう貴殿方の処分に関してを迷う必要がありませんからね」
「っ!・・・俺達を、処分するのか・・・!?」
そしてそんな態度についてを口にした上で続けるなら処分をと言うジェイドに、ガイはたまらず口調を素の物へと変えつつ批難気味な声を向ける。
「もうこんな段階に来てしまっているのに、未だ貴方の本音らしい本音どころかまともな会話すら出来ていません。それなのに貴方の立場だとか境遇をおもんばかったようなことをしろと言われても、復讐を手伝うようなことにそれで報復戦が起こらないようにしつつ貴方を英雄のように扱え・・・というあまりにも都合のいいことなど到底出来るはずありません。それに私は貴方の本音が知りたいと言っているのに、貴方が頑なにそれを明かそうとしないのですからこちらが貴方を危険だと判断するには十分でしょう・・・復讐を諦めきれてないなら、それ相応の対応をする基準としては」
「っ・・・!」
だが冷ややかでいて容赦のない言葉をジェイドが返すと、ガイは息を呑むしかなかった。ジェイドの言葉と迫力に圧されたのもあるのだろうが、本質的にはその中身を否定出来なかったことにあるのだろう。
「・・・ねぇ、あんた。もうここまで来たんだ。いい加減何か本音の一つや二つくらい口にしなよ」
「えっ・・・?」
「私も大佐の言葉を聞いたのもあって、もうここまでゴニョゴニョとしてるだけなのを見てるのは飽き飽きなんだよ。だからもうこの際あんたの本音ってヤツをいい加減ぶちまけな」
「そ、それは・・・」
「いい加減にしな!」
「っ!?」
ノワールがそこに不穏な空気を滲ませもういいから話すようにと言うのだが、ガイは戸惑いながら視線と言葉を濁そうとする・・・が、途端にノワールはガイの胸ぐらを掴みあげ周りにもビリビリ来るほどの一喝を怒りの表情を浮かべながら向けた。
「あんたが私らホドの生き残りに対して何らかの気持ちやらがあるのは理解はしてるし、復讐をしたいって気持ちを未だに捨てきれない様子でいるってのも分かるさ!けどね!前から思ってたけど何も選ばないまんまで今のまんまを続けたって何にもなんないどころかこのまま終わるだけさ!大佐の言ったようにいいかっこをしたいってだけで済ませようとするんなら結果はその真逆になる形でね!」
「っ!?」
そのままノワールは周りの事など一切気にすることなくその態度がいかに不快だったかをまくし立てていき、ガイが衝撃を受けた表情を見せるその姿に椅子へと押しやるように手を離す。









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