片隅に追いやられた難事

「・・・正直な所として、私としてはまだ時間が欲しかったというのが本音でした。ですがガイラルディア様は私の制止の言葉を振り切ってでもファブレに向かうと言ったよう、反対をし続けたなら一人ででもキムラスカに向かいかねない危険性を感じたからこそ二人でファブレに向かうことにしたのです」
「それはいざという時にはガイを止める為にですか?」
「・・・そういった気持ちがあったのもあります・・・ですが今この場だからこそ申し上げますが、私もファブレに復讐を果たしたいという気持ちが存在していたからこそガイラルディア様の事を強く制止することが出来なかったのです・・・」
ペールはその発言に自身がいかに感じたのかを話していくのだが、自身には復讐をしたいという気持ちもあったとジェイドに吐露するように答える。
「・・・私もガルディオスに長年仕えていた身として、ファブレにホドもろともガルディオスが滅ぼされた事に全く思わなかった所が無かったわけではありません。むしろ私も恨みの気持ちは抱きました・・・だからこそガイラルディア様が見せた恨みの気持ちを見て、ガイラルディア様の判断に委ねるのも良いかと考えるようになったのです。どちらも私の望みではあるのだからと」
「成程・・・言い方は悪くとも自分で判断するよりガイに判断を委ねた方が楽だったと思えたから、貴方はそうしたということですか」
「・・・そういうことになります・・・」
だからこそ自分で決めるのではなくガイに委ねよう・・・そう決めたと言った言葉にジェイドが確認を向けると、ただ力なくうなだれるようにペールは頷くしか出来なかった。



(・・・ガイが迷ってたっていうか、行動を自分で起こす事が出来なかったのってペールの葛藤があったからってのもあるからなのかもな・・・どっちにどう転がすかを完全に決めるのに決め手がないから、誰かにその決定権を委ねてそれで判断をしたいって思ったのを見てさ)
(『それっぽいな・・・ペールも復讐したいって気持ちがあるからこそ主って立場のガイを積極的に止めなかったんだろうし、そのガイもどこかしらでそんなペールの姿もあって復讐に完全には踏み切れなくなった部分もありそうだしな・・・』)
そんな様子にルーク達はガイにペールが影響を与えたからこそだろうと内心で話し合う。保護者のような存在であったペールの迷いは、まだ子どもの部分が大きかった当時のガイからすればファブレで暮らす中で無視出来ない物があったからこそ、ファブレへの復讐一択といった考えにはならなかったのだろうと。



「・・・お前がどんな考えや気持ちをガイに抱いていたのかは十分に感じ取った。だがその上で俺達が知りたいのは今のこの現状において、お前がどうしたいかもだがガイがどうするかの決定だ。今までの話が前置きであるのは分かるが、そろそろその辺りについてを話してほしい」
「・・・はい、分かりました・・・と言いたいのですが、この話の展開次第ではガイラルディア様がガルディオスとしてマルクトの貴族に戻ることは可能なのですか?」
アッシュもそんな様子に感じ取った物があるという中で先を促すと、了承はするがその前にとガイのガルディオス復帰の可能性についてをペールは慎重に問い掛けてきた。
「・・・嘘をついて騙すような事は却って良くないでしょうからハッキリお伝えしますが、良くてマルクトで貴殿方の身柄を引き受け一般人として働けるようにするくらいが関の山です。これからの事を考えればガルディオスとしてガイが復帰したなどと事情込みで行うのはキムラスカとの関係に預言の中身を考えれば下手な火種になるのは望ましくありませんし、何より今の様子を見るだけでも分かります・・・ガイがファブレへの復讐を諦めているとは到底思えない状態では、まずどうした所でマルクトからしたなら厄介の種にしかならないだろうということは」
「っ・・・」
「そうですか・・・」
だがジェイドは希望を持たせないようにハッキリ有り得ないと理由つきで言い切り、当事者であるガイは我慢をするように歯を食い縛りペールはやはりと予想がついていたかのよう力なく漏らす。









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