片隅に追いやられた難事

「・・・続けますが、当時はそのような事情を知らなかった事から戦争が終わったことにホッとする反面で、人々の中に隠れるように潜んでいた我々は人々の不満の声を聞いていきました。何故戦争を止める必要がある、ここまで来たのならキムラスカと徹底的に戦え・・・というような声を」
「・・・大方貴殿方がその時に潜んでいたのは難民が集まるキャンプのような場所だったのでしょう。ホドが無くなり戦争による被害を受けた方々が集まるような所に身を潜めていた方が、貴殿方をガルディオスの関係者だと気付くような人達は余裕もないからいないだろうと」
「そうですが・・・だからこそ不満を口にする方々が多かった上で、マルクトに生存を伝えるような事をしたならそういったような考えを持たれる上層部の人間にとっての復讐の旗頭とされる可能性が高いと見たのです。当時はまだ五歳といった年齢であるガイラルディア様を、打倒キムラスカの為にと利用する形で・・・」
「そうなればガイは彼の意志など関係無くさも本人の気持ちだとばかりに旗頭に置いた人間達の言葉から、戦争や復讐戦をしようと切り出すための傀儡にされる可能性が高かったでしょうね。そしてそれを避けるためにも、貴方はしばらく情勢が落ち着くまではガイにはマルクトには戻らない方がいいと話したということですか」
「そうなります・・・」
その空気の中で自分がいかにしばらくの時間を周りを見ながら自身で判断を下し、動いてきたのか・・・ペールが話すその中身にジェイドが答えつつ理解を示すと、眉間にシワを寄せながら頷く。
「・・・ただそうしてしばらくの時間を過ごす中、ガイラルディア様は私にこう切り出してきたのです・・・ファブレに復讐をしたいが、マルクトに戻ってもペールの言ったように操られるような形になるのは嫌な上にいつ復讐を遂げることが出来るかも分からない・・・なら身分を隠してファブレに入り込み、そこで復讐を遂げた上でマルクトに堂々と戻って傀儡となる事なくガルディオスへと返り咲くようにする・・・と」
「・・・ガイがそういった気持ちを持つのは当然と言えば当然ではあるでしょうが、貴方はそう切り出してきた時にどう思ったのですか?」
「・・・正直な所として言わせてもらうなら、何故そんなことをいきなりという戸惑いばかりでした。ですがそれでそうして戸惑っているばかりでは話が進まないと見たので、ガイラルディア様に話を聞いてみるとその難民キャンプで過ごす者達の言葉の影響を受けていたことが分かったんです。ファブレやキムラスカが憎いといったその言葉の影響を・・・」
「・・・そして貴方の言葉としてマルクトに期待出来ないししない方がいいと見たから、ガイはファブレへの復讐を自身が入り込んでやると言い出したというわけですか・・・」
「そういうことです・・・」
そんな顔のまま当時の事を不本意だったというように語るペールに、ジェイドもその中身を補足するかのように話を進めていく。



(『ペール相当に参ってんな・・・』)
(ペールからしてもガイがそういったことを切り出すとは思っちゃいなかったんだろうな・・・当時ガイがトラウマを負ってたってことも考えれば、しばらくは周りの様子も併せて様子を見ていたかっただろうし・・・)
(『マジで予想外だったからこそって反応なんだよな、これ・・・』)
そんな姿を傍目で見ていたルーク達は本当にペールが当時相当に苦心していたのだと感じていた。ガイの事を考えればまだしばらくは時間をかけたかったのだろうという気持ちを感じ取って。









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