始まりの時と見定める境界

「・・・ティアの事については後で話すからともかくとしますが、ガイに関してはどうですか?彼に関しては話を聞いた程度でしか私は判断出来ないのですが・・・」
「あ~・・・ガイに関しては全く正反対な態度だからな、本当に・・・従者として礼儀正しい態度っていうのを崩すような事を全くしてくれなくて、距離をすごく取ってるんだ。表向きはちゃんとしてるって感じじゃあるとは言えるとは思うんだけど、いっそ清々しいまでに俺に関わろうとしない姿勢の事を考えるとどうにもな・・・」
「成程・・・実際に貴方から聞くと、どれだけガイが違うかというのが分かりますね・・・ただある程度は前の時と同じような流れを組んでいるということを加味しても、前の時のようにガイが貴方を進んで助けに来てくれるとはとても思えませんね」
「そこなんだよなぁ・・・」
それでジェイドは話題を次に合流するだろうガイについてに移行するのだが、ルークの実体験に基づいた言葉に不安面についてを口にすると同意が返ってくる。こちらのガイがルークを進んで助けに来る光景が、まず二人の中に浮かんでこなかった為に。
「・・・その点で聞くけど、イオンとアニスはそういった部分じゃあんまり変わりはないのか?」
「えぇ、お二人に関しては特に変わった要素はありません。この辺りはアニスは元々からですが、イオン様もイオン様で謡将からすれば味方に引き込むといった気持ちにならなかったからでしょうね。あくまでダアト式封呪の扉を開かせればそれでいいと思ったのもあって」
「ん~・・・それなら一先ず問題はなさそうって言いたいけど、アニスの問題に関しては根本的には解決はしてないんだよな・・・」
「彼女の場合は彼女当人より、彼女の両親をどうにかすることが大事です。ただその両親をどうにかすると言っても、その当人達の自覚を相当に強く促すかアニス自身に両親と離れる事を決断してもらうかのどちらかが必要になります。そしてその難しさはイオン様を犠牲にしないようにとの前提を崩さずに行くなら、前者は相当に厳しいと言わざるを得ません」
「だよなぁ・・・」
それで次に話題をイオンとアニスへと変える中で問題は両親の事となると、ジェイドとルークは共に表情を複雑そうにする・・・巨額の借金をしても平然といい人達が貸してくれてるから大丈夫と言い切り、イオンの為にと教団員として躊躇いなく身体を犠牲にしてしまうその精神の在り方は自己を省みていないにも程がある上、人を信じすぎている・・・そんな二人を変えるきっかけなど、そうそうないと思うからこそ。
「・・・この問題に関してはまた後程にしましょう。後聞きたいのはこちらのナタリアについてなのですが、彼女との交流はどうなのですか?」
「あ~・・・ナタリアかぁ~・・・」
「・・・その様子だと彼女も彼女で面倒な方向に変わってる、というところですか?」
「ん~、間違っちゃいないとは思うけど・・・元々のこっちのアッシュの影響からだと思うんだけど、『ルーク』って存在への欲求っていうか気持ちが良くない意味で強くなってるんだよ」
「良くない意味で強い・・・どういうことですか?」
そしてその二人についてを後回しにしてナタリアについてを話題にするジェイドだが、ルークが複雑そうに頭をかきながら口にした言葉に眉を寄せる。どうして良くない意味で欲求が強くなるのかと。









.
16/19ページ
スキ