始まりの時と見定める境界

「それでこちらの方から話を聞かせていただきましたが・・・すみませんが、辻馬車の予約はキャンセルしていただきます。貴殿方をこのまま放置する訳にはいかないと判断しました」
「っ!ちょっと貴方、一体何を話したの!?」
「うっせーな・・・黙りきる事が出来なかったんだよ。俺の姿を見てどこから来たのかってのもそうだけど、キムラスカからマルクト方面に第七音素の反応が飛んできただとかそれを知らないかだとか、俺の名前や身分は何なのかとかすっげぇ聞いてきたからな・・・ぶっちゃけ俺に話を聞く前から俺の事分かってたろ?」
「えぇ、予想はついていました。そして同時にどういった理由からこのエンゲーブに来たかですが・・・他に同行者がいないなら私に付いてきてください。逃げるなら逃げるで構いませんが、その場合は招待ではなく貴殿方の捕縛に切り替えさせていただきます」
「っ、くっ・・・従うしかないようだから、無駄な行動はしないでちょうだい・・・!」
「分かってるっつーの」
そんな中でジェイドが話を進めていくと怒りながら話すティアに気だるげに応対していくルークといった対称的な姿になるが、下手に逃げることは許さないといったような言葉にやむを得ないと二人は頷く。しかしそれでティアの視線と声が明らかにルークに向けられていたことに、そっとジェイドは眉をしかめていた。


















・・・それでジェイド主導の元でタルタロスに連れてこられたルーク達だが、そこでジェイドは近くにいた兵士にティアについてどうかを聞くように頼んだ上でルークと二人きりで近くの船室へと入った。



「・・・少し話をしただけですが、ティアはまだ私の事を悪く思っているかどうかは確定はしていないでしょう。ただ貴方への好感度は最悪と言っても過言ではないでしょうね」
「まぁ、あんだけ言われりゃ嫌でもそう感じるよ・・・」
そして部屋に入り開口一番ティアについてを不快そうに切り出すジェイドに、ルークも力なくも同意せざるを得なかった。
「・・・おそらくとかそういった仮定などではなく、彼女はバチカルからタタル渓谷にまで飛んでこうなった流れに関して自分にも責任があるなどと全く思っていないでしょうね。全て悪いことはルークが引き起こした、一応自分は兵士としてその責任を取りはするけれど自分は間違いなく被害者だ・・・と言ったように考える形でです」
「そこまでは・・・」
「ティアを庇いたいという気持ちは分かりますが、外から見れば貴方に対して申し訳無いといったような気持ちは全く見られませんでした。それこそ貴方が何もしなければ全て丸く収まったのに・・・と言った気持ちを抱いているでしょうね」
「うわぁ・・・本当に否定したいんだけど、もうマジで否定出来ない・・・」
「貴方がそうなる気持ちも分かります。ですが私としてもあれだけの姿を見せられた後で嫌な気分なんですよ・・・後で話を聞くつもりではいますが、それこそ私相手でも遠慮をしないとなればこれからの旅が憂鬱な気分になります」
「まぁせめてジェイドにはそうでないで欲しいけどな・・・」
それでいかにティアが物事を捉えているかといった話をするジェイドだが、話をしていく内に気が重くなっていく様子を見せるその姿にルークも切に願うような声を漏らした。せめて自分相手以外にはそうならないでほしいと。









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