「・・・そもそもを言うならティアからしたなら高潔でいて正しい兄であることをただヴァンに求めていたんだろう。だがそれを求めすぎるあまりに俺達と考えやら何やらから合わなかった・・・今となってはヴァンの命やら名誉やらを保証するとでも言えばこちらに味方はしたかもしれんとは思うが、それでヴァンを生かしたとて今度は大義名分を持っての無罪放免どころかむしろ兄の事を英雄のような扱いにしろであるとか、穏便に事を進ませるようにしろと望むだけ望んでこちらにそれは丸投げというような勝手な事をしでかそうとしてただろうな」
「・・・確かに具体的な案は我々も考えろと言いつつ、自身の気持ちが全てにおいて優先されるし正しいとでも思うに留まっていたでしょうね」
アッシュはそのティアについて感じたことや取りかねなかった行動を口にしていき、ジェイドもその中身に関して同意する。



(あ～・・・今の話で出てきたけど、ティアがこっちに協力っていうか敵対しなかった時の理由が分かった・・・ガイと似たような感じで師匠の生存だとかを餌にしたってとこだろうな)
(『それっぽいな・・・ただそれでティアが役に立ったかどうかは微妙だと思うけど・・・』)
(そこは俺の想像じゃあるけど、こっちのお前やジェイドの元々の実力を考えたらティアだけ戦力を余らせてのうのうとさせるとかってならないだろうから、かなり嫌々でも戦わないなら連れてかないとかってなってたから実力はそれなりにはついてたと思うんだよ)
(『あー、その辺りは実力や人が違うからティアも嫌々ながら戦ってったってことか。そしてその分があったから戦力として数えられたけど、オッサンを相手に戦うってなると嫌がるし裏切るだろうから生かして帰るようにする・・・とかって条件を出して何とか説得したって感じか？』)
(だと思う・・・まぁその結果は紫から聞いての通りだけどな)
その会話を聞いてルークがティアがこちらについた理由を『ルーク』に口にしていくのだが、そうしても結末は変わらなかったのだというように脱力気味に漏らした。



「・・・だからと言うのもなんだが、ティアに関しては下手に庇いだてをしない方がいい。むしろ兄の行動や動機を知って尚、兄だけを優先させようとした事に関してをそのまま報告した方がいいだろう・・・特にジェイドに杖を振るってハッキリと殺そうとしてきたことを考えれば、どうしてティアを擁護するのかとピオニー陛下を始めとした人々から言われるのは確実だ」
「それは・・・分かりました、僕はもうティアについて何も言わないようにします・・・」
それで話をまとめるようにティアについてを話していくアッシュに、イオンも諦めるしかないと力なく頷くしかなかった。ここまで来てしまえば諦める以外にないというのを理解して。
「・・・ま、そう決まったのはいいけどどうする？グランコクマにさっさと戻るか？俺としちゃそこまで疲れちゃいないから、もう早く出発してもいいと思うけどよ」
「・・・大佐はどうですか？」
「私も大丈夫です。むしろこれからの事を考えれば早めにグランコクマに戻って陛下にも報告した方がいいでしょうから、反対が無いならもう出立しましょうか」
その様子を見てルークが早々と出発することを切り出し、フリングスが気遣うようにジェイドに問い掛けると問題ないと返した上で周りを見ながらどうかと問い掛けると・・・特に反対といったような様子を見せる者は誰もいなかった。









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