様々な決着

「・・・攻撃ですか。分かっているんですか?その行動がどのような意味を持つのか」
「うるさい!私の考えた通りに進めば兄さんは止めれたし死ななかったのに、貴方達はそうしなかった!なのにシンクを仇として殺すことも許さないなんて認められる筈もないわ!」
「・・・危惧はしていましたが、後で私達の命を狙いに来る可能性はその口振りからすれば十二分に有り得たでしょうね」
(ティア・・・)
ジェイドはそんなティアを油断なく見据え正気を問うが、最早聞く気もないとばかりにわめきたてるその返答に首を横に振り、ルークもまた悲し気に内心で漏らす。結局これまでの旅の経験など何処にいったのかと、ヴァン大事の姿勢を変えられなかったことに。
「貴方達を殺してシンクも殺す!」
「っ・・・!」
そしてティアは最早まともな会話をかわす気もないとジェイドに杖を振りかぶるが、ルークはそのジェイドの手元に瞬時に槍が現れたのを確認し・・・



‘ズブッ!’



「がっ・・・!?」
・・・次の瞬間、ティアの胸を貫くようにジェイドが槍を躊躇いなく突き刺した。そしてその事実に気付いたティアは杖を手から落として苦悶の顔と声を漏らし、ジェイドが槍から手を放した事で地面にドサリと倒れこんだ。
「・・・勇気と蛮勇は違うと言われますが、貴女の行動は蛮勇ですらありません。怒りに身を任せただけで実力差も理屈も何も考えてない、ただの愚行です」
「ぁっ・・・!」
ジェイドはそんなティアにさ眼鏡に手を当てながら呆れの言葉を向けていくのだが、槍が刺さっている痛みに悶えるばかりでろくな声が返ってくる様子もなかった。
「・・・正直よ、可哀想って気持ちは無くはねーよティア。でもよ・・・それでお前の行動や気持ちを見過ごしたら色んな人の未来が暗いもんになるのは目に見えてんだ。お前自身も含めてよ・・・」
「っ・・・!?」
ルークもそんなティアに近付いて話しかけるのだが、今までの雰囲気とは違い本心から悲し気な様子を見せる姿に痛みに苦しみながらも戸惑いに一瞬動きを止めた。
「・・・じゃあな、ティア」
「まっ・・・!?」
そんな様子に構わずルークは最後の別れを言葉にし、ティアは必死に言葉を発そうとしたが・・・



‘ズボッ’



「がっ・・・ぁっ・・・・・・」
・・・ルークは構わず槍に手をかけ胸から引き抜き、ティアはその痛みと血が溢れてくる様子にたまらず胸を押さえるがすぐに動きは鈍くなっていき・・・その動きを完全に止める事になった。
「・・・はは、死んだかい。僕が言えた義理じゃないだろうが、随分身の程知らずな事をしたものだね。実力も理解せずにさ」
「・・・そこについては同意しますよ。というよりは自らの分というか、優先順位をちゃんと自分の中で定めていなかったからこそでしょう。でなければあんな風に支離滅裂でいて思い付きの発言に行動は取らないと思いますし、そもそもこのアブソーブゲートで起こることについてある程度でも覚悟が出来ていなかったという時点で駄目だったと思います。まぁこうして手にかけた私に言われたくはないだろうとは思いますが、それでもちゃんと考える選択肢を与えただけ有情だと思いますがね」
「確かに僕なら選択肢なんか与えちゃいなかっただろうね、はは・・・」
そんな時に倒れていたシンクから皮肉げに笑う声がかかり、ジェイドがこれでも譲歩した結果と返すとその通りだというように漏らす。シンクからしたならティアに情けをかけていなかったとハッキリ口にする形で。









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