始まりの時と見定める境界

「予想していたんですね、こういった展開になることは?」
「予想って程じゃないけど、話の流れ的にこうなるんじゃないかってのは何となくな。つーかここまでの状況でどうやって合流するのかってなったら、それくらいじゃないと無理だろうって思ったんだよ」
「まぁ妥当と言えば妥当ではありますが、貴方も貴方で三十年も幻想郷も暮らした分の経験があったからこそそういった考えが出来るようになったのでしょうね。前のエンゲーブに来たくらいの貴方だったらこんな時はどうするのかと聞いていたと思うのですが・・・」
「そりゃな。幻想郷で生きてきた時間って色々濃厚な時間だったし、やたらともって回ったような言い回しだったり意味深な事を言われたりだったりしてきたからな~。紫程じゃないにしても」
「そうですか」
そんなルークに対して感心したような声を向けるジェイドだが、穏やかに笑いながら返すその姿に同じように微笑み返す。
「あっと・・・ちょっと話を戻すけど、ティアにはどう接するんだ?さっきの様子を見てたなら分かると思うけど、多分ファーストコンタクトの仕方もそうだけど軍属を重く見てるかどうかでジェイドの事を決めるだろうし・・・そろそろ戻ってきそうだしな、ティア・・・」
「それですか・・・」
だがそんな空気をルークは敢えてティアへと話題を変えると、ジェイドも眉を寄せて悩ましげになる。
「・・・一応接触してからにはしますが、私は基本的に貴方の側に寄った発言や態度をしますよ。あのティアの態度は下手をすればとかそういう問題ではなく、貴方も含めて国の上層部に対しての不敬と取ることの出来る行動を自覚があるなしではなく、むしろ悪意を持って対応しかねません。それこそキムラスカやマルクトなど、謡将に比べてとるに足らない存在だといったように」
「うわ・・・ないって否定したいけど、それは・・・」
「前の時の貴方に対してもそうでしたが、こちらのティアは一層に貴族軽視の傾向が強いと言わざるを得ません。ですがキムラスカはまだしもマルクトに対してそんな態度を取るというのであれば、私の立場としては到底見逃すことは出来ません」
「・・・だから基本的に俺に寄るって言ったのか・・・」
「えぇ、そういうことです」
それでジェイドが出した結論はティアには寄らないというもので、その理由を聞いて納得する。言葉にしたことはそうはないが、ジェイドのピオニーへの忠義もそうだがマルクトに対する忠義も規模はともかくとして備わっている事はルークも知っている為に。
「っと、向こうからティアが来た・・・」
「では私が話を始めますので、貴方はそれに合わせてください・・・我々が初めて会った頃のような態度で接するのですよね?」
「あぁ、頼む」
そうこう話している時に村の奥からティアの姿が見えたとルークが身構え、ジェイドも空気を変えてやり取りを一つした後にルークは気だるげな空気を作る。
「っ・・・貴方、どうしたのこの人は?折角私が辻馬車の予約を取ってきたのに・・・」
「失礼。私はマルクト軍第三師団長のジェイド=カーティス大佐です。任務の途中でこのエンゲーブに立ち寄りましたが、見慣れない方がいるとの話を聞き付けこちらに参った次第です」
「っ、マルクト軍・・・!」
それでルーク達に近付いたティアはすぐさま面倒そうな視線と声を向けるが、ジェイドが割り入って名乗りをすると途端に警戒をしたような視線を向ける。
(『これ確実にジェイドを敵視してるだろ・・・』)
(まだ分からないって言いたいけどなぁ・・・)
そんな姿に『ルーク』は呆れたようになり、ルークも強く否定は返せなかった。決して大丈夫とは言えないと。









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