様々な決着

「っ・・・ぁっ・・・!」
ティアがそのまま苦痛に身をよじり呼吸が満足に出来ずに苦しそうにするその姿にシンクは皮肉げな笑みを浮かばせる。
「はは・・・分かっちゃいたけど、随分とお粗末な動きだったね。キレたからって言ってもあまりにも動きが悪くて笑っちゃったけど、あんたも随分と酷な事をするね。この女を焚き付けるような事を言うなんてね」
「別に今のような感じで動いてもらいたかった訳じゃねーよ。むしろ逆でいい加減オッサンの罪を認めた上で冷静に・・・最悪オッサンの味方をするような結論を覚悟して出してくれた方がまだいいって思ってたくらいだ。けどそいつが選んだのは理屈じゃなくて感情だけでオッサンに助かってほしいっていうだけの、覚悟や考えなんてない行動だった・・・ある意味じゃここまでくりゃ立派な兄妹愛だって言えるかもしんねーけど、俺は何も言わずシンクに襲い掛かれなんて一言も言ってねーよ」
「あぁ、確かにヴァンの味方をするか何もしないかだったねあんたが言ったのは。そう考えればキレたこの女が悪いで済む事だね」
シンクは蔑むような言葉をティアに向けつつルークに悪趣味だといったように声をかけるが、別にそんなつもりじゃないとの言葉に間違いではないなと上機嫌に口元を歪ませる。
「・・・まぁティアに関してはしばらく動けないでしょうから一先ずそれで良しとして、謡将のとどめを自分の手で行いたいというのであればそろそろお願いします。我々もそこまで時間があるわけではありませんからね」
「そうだね。じゃあそうはさせてもらうけど、その次はあんたらの番さ」
「・・・私達も、貴方のターゲットだというのですか?」
そのやり取りを見て話と事態を進めようとしたジェイドだがシンクから当然のようにと出てきた答えに、ルーク共々に眉を寄せた・・・今の言葉が正しければ、シンクは自分達にも牙を向けてくるとの事に。
「まぁヴァンを倒してくれたあんたらには感謝はしてるし、同時にほとんど傷らしい傷もないあんたらに勝てると思うほど僕も思い上がっちゃいないさ。けどね、僕が嫌いなのはヴァンだけじゃない・・・預言も被験者もオールドラントも、自分自身まで含めた何もかも全てさ!」
そんな二人の視線に両手を広げつつシンクは自身の気持ちを盛大にぶちまけた・・・先程までとは違い怒りに満ちた表情と声で、全てを恨んでいるという言葉を。



(『シンク・・・』)
(・・・成程・・・確かにシンクの考え方なら、こっちでの師匠のこともあってこうなるのはむしろ必然的か・・・師匠の企みに乗った上で被験者やオールドラントを滅ぼすのと同時に、自分を見下してきた師匠達を殺したいって思うのは・・・)
そんなシンクの圧とも言える迫力に『ルーク』は悲痛な声を漏らし、ルークは同じような声ながらも納得した。確かにこちらのシンクならそう考えてもおかしくはないと。



「・・・まぁだからって今言ったように僕もあんたらに勝てると思うほど思い上がっちゃいないが、それでもヴァンを殺す役割を譲ってくれるんなら遠慮なくいただかせてもらうよ」
「がっ・・・シ、シンク・・・!」
だがシンクはすぐにテンションを戻した後に足元のヴァンに視線を向け、その首元に足を乗せ苦痛に歪む声になど気にすることなく・・・



‘ゴキッ!’



「「・・・」」
「に・・・兄、さん・・・っ!?」
・・・次の瞬間シンクは躊躇いなく足に力を入れて首を踏み抜き、骨が砕ける鈍い音が辺りに響き渡りルークとジェイドは顔をしかめるに留めたが、ティアは痛みを残しながらもその事実を目の当たりにして呆然とした声を漏らした・・・首の骨が構造上有り得ない方向に曲がり、ピクリとも体を動かすことが出来なくなって死んだのが分かるという光景を目の当たりにしたことに。









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