様々な決着

「ショックを受けんのはまぁしょうがねーとは思うし、兄上って立場のオッサンを信じたいって思ってんだろうけどよ・・・もういい加減オッサンだけでなく色んなもんに対して夢見んの止めろっつーか、現実を見ろって俺は言いてーんだよ。オッサンはお前を殺してでも計画を進めようとして、お前はそれを考えてなかった。そして俺はジェイドと同じで・・・ここでオッサンを見逃す理由なんて持ってないし、オッサンを助けてほしいっていうだけで、以降に絶対に行動を起こさせないようにする為の考えがない気持ちだけの要望なんて聞くつもりはねーんだよ」
「っ、そんな・・・!」
そうして頭をかきつつ気だるげにハッキリ助けないと言い切るルークにティアは悲痛そうな表情を浮かべるのだが、その様子に頭をかく手を止め目を細めながらティアを指差す。
「・・・さぁどうする?俺達がオッサンを逃がすつもりはねーってのもそうだけど、シンクもシンクで自分の手でオッサンを殺してーってのは今の様子から明らかだ。ただ今となっちゃ話をしたかったから襲ったって意味合いが強かったってのは分かりきってるけど、それでもお前はオッサンの事を止めたいって部分もあって行動したんだろ?・・・だから選べよ。ここでオッサンを助けたいからって俺達にシンクを敵に回すか、それともオッサンを止めるって意味だったり自分の命惜しさに何もしないかのどっちかをだ」
「っ!?・・・今ここで、選ばないと、いけないの・・・!?」
「一日待ってとかそんな悠長なもんやれる暇なんかアッシュ達の事もあっから出来るわけねーってのもあっけど、何よりシンクがそんなに待つ訳ねーだろ。今だってお前が悩んでるような様子が無かったら、マジで今頃頭を踏み砕いて終わってただろうしよ」
「っ・・・!」
ルークはそこでどうするかの選択を求めティアが考える時間が欲しいというように漏らすが、次に指差されたシンクを見て息を呑んだ・・・ルークの言葉通り何もなかったならヴァンを殺していたのだろうと分かるような、ニヤリとした笑みを浮かべるシンクの姿に。
「分かるだろ、そんな長い時間待てねーってことが。だから選べっつってんだ。兄上を諦めるか、その兄上を助けるために俺らや他のオールドラントの人達を見捨てて戦いを挑むのかって事をな」
「っ・・・うぅぅ・・・っ!」
だからこその選択を・・・そう最後とばかりに改めて指を指しながら告げるルークに対し、ティアは未だかつて見たことないような苦悩の表情を浮かべ声を漏らした。今すぐに結論を出すにはティアにとって酷く難解だが、今でなければ自動的にヴァンが死ぬ結末になるということに。






・・・そうして数十秒という程度に時間が過ぎ、ティアの答えを一同は沈黙して待機していたのだが・・・唐突にティアは杖を構え、シンクの方へ走り出した。
「あぁぁぁぁぁぁっ!!」
そこに付いてきたのは喉を振り絞るような叫び声と、必死でいて緊迫感の溢れる表情なのだが・・・
(・・・追い詰められて考えがまとまりきらず、師匠助けたさに行動爆発を起こしたか・・・)
・・・ルークは内心で残念と思うよう、その様子を行動爆発と評していた。追い詰められたが故に咄嗟に爆発したよう、反射的な行動を取ったのだと。
「フン・・・」
‘ゴッ!’
「がっ・・・!?」
・・・だがティアの実力もそうだが、行動爆発によって行われた行動は冷静とはかけ離れた行動でしかなく、少し動きを読める者なら迎撃など容易く出来る。
シンクは鼻でその行動を笑った後、自身に近付いて杖を振りかぶったがら空きの鳩尾に威力十分のボディーブローを叩き込み、ティアはその一撃で杖を手から落としてたまらず苦悶の表情を浮かべながら手で腹を押さえ地面に倒れこんだ。









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