様々な決着

「なぁオッサン。口が開けっならでいいけど、あの時と今の二つのシチュエーションであんたティアを殺す気ってあったか?今の話を踏まえないでって意味で聞くけどよ」
「ぐっ・・・何故そんなことを聞く・・・?」
「今に関しちゃまだともかくとしても、ファブレに来た時のあんたの様子的にティアがあんたを殺すつもりが無いとかって事に気付いたかどうかなんて思えねーからだよ。譜歌で弱っててとてもそんな余裕なんて無かっただろうってな」
「っ・・・」
それでルークがティアを殺すことについてを聞いてヴァンは何とか顔を向けて口を開くが、続けられたファブレでの様子についてを言葉にされて少し苦そうに黙りこむ。
「・・・分かった・・・この際だから言わせてもらうが、あの時の私にはそんな余裕など無かった上で・・・今も含めて言うなら、必要だと思うなら殺していた」
「なっ・・・!?」
しかし意を決したといったヴァンの気持ちの発露に、ティアはたまらず絶句するしかなかった。自分と違い兄は自分を絶対に殺さないと決めていた訳ではないし、むしろ殺すことを追い詰められてもあって考えていたとのことに。
「いや、あの時譜歌が結構キツかったのお前もオッサンが辛そうにしてたの実際見てただろ。あれを見て余裕があるような様子なんてあるわけねーのは近くにいた俺も分かったし、オッサンからしたら自分の計画を成就させる為にお前に殺されることや負けることやもそうだし、何より負けた後にオッサンから話を聞いて嘘の話にでも満足したお前はそのまんままた譜歌を歌ってファブレから出りゃいいとか思ってたかもしんねーけど・・・このオッサンに待ち受けてたのはまず間違いなくあの女は誰で、どんな理由があって襲われたのかって言われんのは目に見えてたろ。そうなりゃいくらその時ファブレやキムラスカに信頼されてたオッサンでも、追求されるのは避けられねーってなるからそれをどうにかしたいし計画を続行したいってんなら・・・お前が妹だって言わないまま殺すのが一番オッサンからすりゃ妥当だろ」
「な・・・そ、そんな・・・」
「ルークの言うことはまず間違いなかったと思いますよ。というか今となってはという話になりますが、ルークが乱入していなかったらそれこそ今言ったようなに貴女が勝手に満足して帰るか、謡将が貴女を殺して様々に誤魔化すといった結末のどちらかになっていたでしょうし・・・どちらになっても貴女にとっては不幸な結末だったでしょう。特に後者だった場合は尚更だったでしょうね」
「そ、そんな・・・っ!?」
だが追撃と言わんばかりに当時の様子やヴァンの状態も交えて話を進めるルークにジェイドもだろうというように補足をし、ティアはまさかという驚きと信じたくないという気持ちをない交ぜにした様子を浮かばせるしかなかった。



(『あー・・・まぁ確かにそうだよな・・・ティアは信じたくねーだろうけど、俺が手を出さなかったらティアに待ち受けてた結末ってそんなもんだったろうな・・・特に殺されていた可能性ってのは本来のオッサンとティアの実力差を考えりゃ、まず体の状態を取り戻させればオッサンが勝ってたろうし・・・もしティアが勝って話をして勝手に満足して帰ったとしても、ファブレやヴァンを襲った理由を言えよってキムラスカが追求するのは目に見えてるし、あのティアの事だから言わねーに言えってやり取りでグダグダになるのは予想はつく・・・そしてマルクトが来たならアクゼリュスに行って役に立てば水に流してやるで済ませるって流れもな・・・』)
そんなやり取りを見ながら『ルーク』は話の中身が大げさではないというように感じていた。本当にルークが行動していなかったなら、様々な意味でティアに良い未来など有り得たとは思えないと。









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