様々な決着

「アハハハ!まさかこんなことになるなんて予想していなかったよ!」
「「「「っ!?」」」」
・・・そんな場に唐突に愉快だと隠すつもりもない声が響き渡り、ルーク達は驚きつつも自身らが来た入口の方へと視線を向けると・・・
「・・・シンク・・・?」
・・・そこにいたのはシンクなのだが、高らかに笑いながら歩いてくるその様子にルークは小声で呟きながらも疑うような視線を向けた。何故ならルークの知るシンクとはかけ離れた様子でしかなかったからだ。
「・・・ぐっ・・・シンク・・・どうしてここにいるのかは分からぬが、ちょうどいい・・・私を助けろ・・・!」
だがヴァンは疑念を抱くよりダメージの残ったままながらも、言葉だけは強い命令をシンクに向ける。



「嫌だね」



「・・・何?」
・・・だが返ってきたのは簡潔に一言のみの冷たい拒否の言葉で、ヴァンもそうだがルーク達も呆気に取られたような表情を浮かべた。
「僕があんたを助けるためにここに来たとでも思ってるのかい?だったらおめでたいね・・・むしろその逆さ!僕はこいつらをあんたとぶつけて弱るだろうあんたを殺しに来たんだよ!」
「「「「っ!?」」」」
その様子に口元を歪ませて笑ませつつシンクが両手を大きく広げて口にした本当の目的に、ヴァンもルーク達も更なる驚きを浮かばせた。まさかの目的がシンクから出てきたことに。
「ただ、まさかここまでうまく行くなんて本当に予想もしていなかったよ・・・死霊使いはまだしもにしてもアッシュがここにいないのは誤算だったけれど、それを補ってあまりある形でそこのレプリカはヴァンを圧倒してくれたんだからね。これで僕の手間が省けるって物さ」
「・・・正気か、シンク・・・!?」
「正気?・・・ハハッ、おかしなことを言うねヴァン。あんたに僕が忠誠を誓っててあんたの元にいるとでも思ってたのかい?だったらおめでたいったらありゃしないね・・・僕はあんたの事を殺したくて殺したくて仕方無かったのにさ!」
「何、だと・・・!?」
そうして上機嫌に話を進めていくシンクにヴァンが強い目と言葉を向けるが、途端に怒りと殺気を含ませた言葉を吐いた事に困惑混じりの驚きを浮かばせる中でシンクは仮面に手を伸ばし・・・顔から外して後ろの方に投げ捨てた。
「なっ!?イ、イオン様と同じ顔!?」
「おや、どうやらその反応だとあいつはうまくやってたようだね・・・なら簡単に言ってやるけど本物の『導師イオン』はもうこの世にはいない。そして僕もそうだけど今のイオンはヴァンの命令で造られたレプリカなのさ」
「うっ、嘘!?どういうこと!?」
「簡単に言うならヴァンが自分の都合の為、もっと言うならダアト式封呪の扉を開く為の人材を欲しがったからさ。けどそのレプリカに求められたのは完璧なダアト式譜術を使える個体で、完全同位体ではないレプリカはどこかしら被験者より劣化して生まれるのが普通・・・そしてダアト式譜術を完璧に使えるレプリカは簡単に生まれることなく、ようやく今のイオンがそうだってなった後でそれまでに産まれた僕を含めた他のレプリカ六人はザレッホ火山に投げ込まれる事になったのさ」
「っ!!」
「まぁ最後に残った僕だけはヴァンが助けた、みたいに言うとあんたからしたら兄の優しさは当然だって思うかもしれないけど・・・そもそもを言えば僕達を自分達の為に勝手に造って勝手に捨てようとして、挙げ句自分の役に立つなら生かしてやるなんて風な事を言う奴をさ・・・好きになんかなれると思う?」
「っ!?」
・・・それで仮面を取ったシンクにティアが驚愕を隠せないままに会話をしていくのだが、シンクが最後の一言に込めた呪詛とも取れる強く深い念がこもっていたことに、ティアはヴァンを擁護など出来るはずもなくたまらず身を後ろによじらせた。









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