「・・・あそこまで怒るとは思わなかったな・・・」
「ですがあれだけ激昂するということは貴方の言ったことは的を得ていたのでしょう。ただその分ティアからしたなら、知りたくない事実を知ってしまったという衝撃は相当のようですね」
「に、兄さん・・・」
ルークはそんなヴァンを油断なく見据えながら意外そうに漏らしジェイドはそれだけの事だったのだと言う中で、話題を向けられたティアは愕然とした様子で声を漏らすしか出来ていなかった。
「・・・レプリカ風情が・・・私の役に立たないばかりかことごとく私の邪魔をしてきて、そして今また私を不快にさせた・・・この罪、貴様の死を持って償え！」
‘ギィンッ！’
「っ、ジェイド！ティアを連れて後退しろ！俺はオッサンのターゲットだからそんな暇はねぇ！」
「分かりました！」
その姿により怒りが沸き上がるとばかりにヴァンがルークに勢いよくまた斬りかかり、その攻撃を再び受け止めながら素早く指示を出すとジェイドはティアを腹に手を回す形で荷物を運ぶように兵士の方へと下がっていく。
「フ・・・なめられた物だな、貴様一人で私と戦うなとと！」
「・・・生憎だが負けるつもりはないって言うか、俺一人でもあんたには勝てるさ」
「何？・・・ならばやってみるがいい、やれるものならな！」
ヴァンは剣を押し合う中でルークに嘲りを向けるが、返ってきた自信を持った声により一層の怒りを持った声を放つ。レプリカなどに負ける訳ないと、微塵も自身の勝利を疑っていないというよう。



(・・・自信満々なとこ悪いけど、さとりが出した俺の記憶の師匠より動きが鈍いし力もそこまでじゃない・・・どうしてこうなったのかの理由は気になるけど、これなら余程の事がないなら俺一人でも負ける理由はない・・・！)
対してルークは内心にて、勝てるとの言葉が大げさではないという確信を持っていた。このヴァンの実力から自分なら倒せるという確信を。



















・・・そうして戦いの火蓋が切って落とされた訳だが、ルークの読み通りヴァンとの戦いはルーク・・・いや、ルーク達の圧倒的な優勢で進んだ。これは当然だろう、別にルークは一人でも倒せると言ったが一人で戦うとは一言も言っていない。

現にルーク一人でも優勢に戦えていたのだが、そこにティアを下げたジェイドと連れてきた兵士が譜術で援護をしたことによりヴァンは一方的に攻撃を受けることになったのだ。ジェイドの指示により下手にルークの手助けをするよう接近戦を挑んでもヴァンとのレベルが違うことから殺される可能性が高いため、同じくレベルが違うルークを遠距離から援護した方が効率的であるという言葉から。



「ぐっ・・・！？」
「兄さんっ！」
・・・それで戦いが始まって数分といった所で切り傷を始めとした傷を多く作り場の中央で剣を地面に突き刺し片膝をついたヴァンに、その光景を戦闘の影響を受けないようにと端の方に寄せられて見ていたティアの悲痛な叫び声が辺りに響いた。
(もうローレライは地核にはいないけど・・・もしもの事を避けるため、今ここで師匠にとどめを刺す・・・！)
そんなティアの声に構わずほとんど戦闘による汚れや傷などないルークはこれで終わらせると決め、ヴァンの方へと歩みを進めていく。後にまた復活などさせることなく、これで確実に済ませると。









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