始まりの時と見定める境界

「・・・取り敢えずティアの事は後に置いといて、漆黒の翼の事はどうしたんだ?タルタロスが辻馬車を追いかけて来る姿を見てなかったから、何かしら先に行動してるんじゃないかって思ったんだけど」
「鋭いですね。確かにその通りで、漆黒の翼とは既に接触しています。その際に後の協力をお願いした上で、敢えて見逃すという形を取らせていただきました。こちらとしては後の展開がある以上、彼らを追って捕まえる理由はありませんからね」
「あぁ、やっぱりそういうことか」
そんなティアについてから漆黒の翼へと話題を変えるルークに対し、ジェイドは行動済みだというように答えて納得させる。
「そういうことですが、漆黒の翼だけに時間をかける訳にはいかないと思った理由は他にあります。現に私はエンゲーブで起こった食料盗難事件を先に解決させておきました」
「えっ・・・なんでそれを・・・?」
だがそこで更にジェイドが行動をしていた事を聞かされ、ルークは何故と疑問を向ける。チーグル達の事件の解決をどうして先にしたのかと。
「理由は大きく二つありますが、まず一つはアリエッタとの敵対を出来る限り避けたいと思ったからです。こちらのオールドラントにおいてティアとガイが敵になる可能性が高いということを考えれば、敵を増やす可能性は少しでも減らしたかったんです。現にライガは卵ごと他の住みかを探しだして移動させて提供する形で事なきを得ました」
「・・・もう一つは?」
「・・・先程のティアを見たからこそ尚更に思いましたが、彼女ではライガの事を問答無用で抹殺にかかるかもしくはチーグルの事など知らないと無視に入る可能性があると考えたのですよ」
「・・・えっと・・・前半はともかく、後半は・・・」
ジェイドはその理由は二つあると言うのだが、その二つ目の中身にルークは怪訝そうに眉を寄せる。可愛い物好きなティアならチーグルに甘くいくのではないかと。
「確かにティアの可愛い物好きの性質を考えればそうはならないかもしれませんが、こちらのティアがそんな隙を見せるかどうか怪しいと思ったんです。それにライガを殺さないことを目的として考えるなら、チーグルの肩を持つような展開になることは却ってまずいことになる・・・前半の理由も併せて下手にティアにチーグルとライガの件で関わりを持たれると危ないと考えたから、先に事件の解決をしたのですよ」
「あ~・・・不安要素の方が大きいから先に事件の解決をしたってことか」
「ちなみにチーグルと言うかミュウは現在タルタロスにて待ってもらっています。前のような形でではない以上、私の方に恩返しだと言って仕えてくれるとは言ってくれましたが、ミュウの性質を考えると秘密の会話をするにはあまりにも不向きですからね」
「だからタルタロスで待っててもらってるって訳か」
「そういうことです」
ジェイドはその理由をティアの不安があるからだと言った上でミュウはタルタロスにいると言い、ルークはあぁと納得する。ミュウが秘密を秘密に出来る筈がないと思い。
「んじゃイオンとアニスは今タルタロスの中か?」
「えぇ。もうエンゲーブから出発しても差し支えない状態になっていますので、現在タルタロスにて待機してもらっています・・・そして私の筋書きではこの後、貴方とティアを連行する予定です」
「あぁ、そういうことか・・・」
それで次にルークはイオンとアニスについてを聞くのだが、ジェイドが眼鏡を押さえながら連行と言ったことに納得する。今までの話の流れならそうした方が自然に共に行く流れになると。









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