様々な決着

「・・・まぁガイラルディア様に関してはこの辺りでいいでしょう。元々貴殿方がこちらに来たのは私を止めるためでしょうからね」
「・・・まぁそうですが、その前に一つハッキリさせることにしてからにしましょう。ティア・・・今聞いての通り謡将はこちらと戦う姿勢を見せて引くつもりはないようですが、貴女はどうしますか?」
「っ!・・・わ、私・・・!?」
ただヴァンもいつまでも凹んでいられないと余裕ある微笑を浮かばせ戦いの始まる雰囲気を作り出すのだが、ジェイドが突如として投げ掛けた声の対象であり後ろに控えていたティアは大きくビクリと体を揺らした。何故ここで自分にというよう。
「・・・貴女、わざわざ私達に付いてきたのは謡将と会って話をしたかったというだけなのですか?というより分かるでしょう。今から謡将と我々の間で戦いになるということは。そして私達もそのつもりでいますが、謡将もまたそのつもりでいるでしょう・・・本気で殺しに」
「っ!!」
「今更です。貴女を戦力として数えるつもりは私にもルークにもありませんし、そして兵達にも数えるなと言っておいてあります。そしてだからと言って今までのように貴女のワガママを聞くつもりはありません・・・謡将を殺すなに攻撃すらするなというような事を言うようなら、どういう想像をしていただいても構いませんが貴女の口に行動を封じさせていただきます。我々の命を危ぶませるような事を言うようでしたら、それくらいはこちらも行うのは辞さないですよ」
「っ!?」
続けてジェイドはいかに今からの戦いが苛烈になるのかを口にした上でワガママを言ったならと鋭く冷酷にその先の事を暗示させるように言うと、ティアはハッキリと恐れを感じさせたように表情を揺らした。
「・・・さぁ、どうしますかティア?戦わないというなら兵達の後ろに回ってください。勿論私達は負けるつもりはありませんが、最悪我々が敗北したとしても貴女だけは妹ということから生きることは出来るでしょう。ただし戦うこと及び我々の邪魔をしようというなら、相応の覚悟をしてください」
「っ・・・!」
「・・・」
そしてこれがどうするか選択出来る最後だというように通告すると、ティアは不安げな様子を隠す事もなく手を胸に当てヴァンもその様子にどう答えるのかというように身構えていた。



(『どう答えんのかなこいつ・・・』)
(あ~・・・ちょっと気になったことが出来たし、判断材料をティアに与えるって意味でも師匠に質問してみるか・・・)
そんな中で心中でその様子を浮かべ見ていた『ルーク』の声に呼応するよう、ルークは気になることを質問してみようと口を開く。
「あー、ちょい待ってくれ・・・この際だからティアが答える前に聞きたかったことを先に聞かせてくれ、オッサン」
「・・・何?貴様が何を私に聞こうというのだ?」
そこで頭をかきながら気だるげに言葉を発したルークにティアに集まった視線はヴァンの嘲笑めいた顔に向けられる。明らかに大したことないことを聞くのだろうといった嘲りを感じさせる顔に。
「ぶっちゃけオッサンってティアに兵士として生きてって欲しいのかってのもそうだけど、そうやって活動して死ぬなんて事を望んでたのか?」
「・・・何をいきなり聞いてくるかと思えば、何だその質問の意味は?」
「いや、さっきアクゼリュスでガイは助けずティアは助けるみたいな事のガイの理由は聞いたけどよ・・・ティアを助けた理由ってヤツを聞いてねーなって思ったんだよ。勿論妹だから助けたいって思っただけならそれまでだけど、もしかしたらガイと違って自分に引き込める理由があるかもしくは自分なら引き込めるだろうって見てんじゃねーかって感じたんだよ・・・兵士としてちゃんとやってるみたいなポーズをティアは見せちゃいるが、その行動の裏にある自分の無さを見てだ」
「っ・・・」
だが指を指して突き付けた質問からのルークの考えたティアの姿勢についてに、初めは余裕の表情を浮かべていたヴァンの口元が若干不愉快そうに歪んだ。









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