様々な決着

「ここがアブソーブゲートか・・・今までのセフィロトとはかなり雰囲気が違うな」
「プラネットストームの始まりと終わりであるからこそでしょう。だからラジエイトゲートも含めて今までのセフィロトとの造りも違うのでしょうが・・・取り敢えず先に進みましょう。謡将がいるとしたなら操作盤の前で、そこで我々を待ち構えていると思われますからね」
「っ・・・!」
そうしてアブソーブゲートの地に降り立ったルークは初めて来たといったように振る舞いつつ言葉を口にし、ジェイドがその声に答えていく中でティアがそっと握り拳に力を込めていた。いよいよ兄に会えるといった気持ちの昂りを抑えるように。



















・・・そうして一同は先に進んでいくのだが、前と違って切迫していないからか面々が分断されるといった崩壊のようなことは起きず、一同は道中の敵に対応しながらもどんどんと先に進んでいった・・・敵と戦う時はティアは完全にマルクト兵の後ろに隠れて何もしない形でだ。

ここまで臆病風に吹かれるとは・・・というような目をマルクト兵はその兜の下に浮かばせていた。明らかに兵士として見るには慎重とは言えない、ただの怯えとしか取れないそのティアの姿に。だが同時にそんな動きを見せる上に、ここの敵と戦ったからルーク達も含めた一同は分かるのだ・・・ティアの実力は明らかにここにいる魔物と比べても遥かに劣るレベルにあると。

マルクト兵もピオニーが選んで付けただけあってルークやジェイドには劣るにしても精鋭の兵士達である。故にこそ分かるのだ・・・いかにティアの動きが兵士として洗練されていないのかどころか、逃げ方や動きが素人にある程度毛が生えたようなレベルであると。そしてそんな姿を見たからこそ不幸中の幸いというか、ほんの一撃食らえばティアがそれでライフボトルでも蘇生が出来るか怪しいダメージを負って自分達が四苦八苦するのではないかというビジョンが見えてしまったのである。

そしてそれ以前にジェイドからティアについてはある程度兵士達も注意を受けていたのだが、それが間違いでなかったことを色々な意味で知ったのである。ティアの態度は気に障りはするだろうが、無理矢理戦わせようとしてもこちらの状況が悪化するだけだから生きているだけマシと思え・・・これが終わればもう苦労は終わるのだからといったような言葉が間違いではなかったのだと。

・・・ただ裏でそんなことを言われていたなどティア当人は知るよしもないままに進んでいき、ルーク達はヴァンの元に辿り着いた。






「・・・兄さん!」
「来たか、ティア・・・と、兵士達はともかくそちらは大佐とレプリカだけか・・・フン、私もなめられたものだな」
・・・以前と同じよう背を向け座っていたヴァンを見つけティアが悲痛とも嬉々とも取れるような声を上げ、その声に反応して振り返りながら立ち上がるのだがルーク達を見て鼻で笑うような顔と声を向ける。
「なめられた、ね・・・まぁ色々聞きたいことはあっけど、その口振りじゃやっぱ企みは止めて降参します・・・なんて事は微塵も考えちゃいねーって感じにしか聞こえねーな」
「フッ、その通りだ。例えここにアッシュがいたとて私が怖じ気付いて行動を止める事などない」
「そんな・・・っ!」
対してルークは頭をかきながら気だるげにその姿勢の意味を問うと、正解だと自信満々な様子で肯定を返したことにティアが驚きの声を上げた。










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