見えてくる未来の分かれ道

「俺もその意見には賛成だが、加えて言うならアニスもそこに加わった方がいいだろう」
「えっ・・・わ、私も・・・!?」
だがここでアッシュがアニスもと口にしたことに、何故といったような驚きを浮かばせた。どうして自分もそこでそう言われたのかと。
「理由としては簡単に言うならシンクの存在だ。俺達もそうだがディスト達からしてもシンクが場を離れて戻ってこなかったことは想定外だったようだが、もし伝令に来たという兵士から何か別の役割を担ってもらうためにどこかに離れたというなら警戒をするに越した事はない。一つ例を挙げるなら二人の敗北を見越した上で後で二人の解放をしに来た上で、物のついでにと導師の奪還に来る・・・であるとかな」
「そんなこと・・・っ」
「落ち着け。あくまで可能性の一つで、絶対にそうなるとは限らない上にジェイド達も二人の扱いに関してをここの兵士達に厳重に注意するようにとは言い渡してはいるだろう。ただ念には念を入れると言うよりは導師守護役としての本分を果たす形で導師と共にここに残るようにした方がいいと俺は思ったんだ」
「あぁ、そういうことなんだ・・・でも確かにそれなら私はイオン様と一緒にいた方がいいかもなぁ・・・」
その返答としてアッシュはやはりシンクの行動が読めないからといったように話を進めていき、その中身にアニスもしみじみと感じ入るように納得していった。絶対に大丈夫という保証がない以上、アニスはイオンと共にいた方がいいと。



(『なんつーかシンクの予想外の行動に助けられたって感じがするな・・・』)
(その狙いが分かんないのが不気味だけどな、本当に・・・)
そんなやり取りを端で見ていたルーク達は予想外にうまくいった流れに関して、素直に喜べずにいた。やはりシンクの行動が読めないからこそこうなっているということに。



「・・・まぁアニスに関しては今アッシュが申し上げたように導師守護役としての本分を果たす事から、イオン様と共に残っていただくのがよろしいでしょう。それで最後に確認という形を取らせていただきますが・・・ティア、貴女は我々に付いてきますか?」
「っ、最後にってどういうことですか・・・!?」
ジェイドはそのやり取りにアニスはもういいというように言う中でティアはどうかと視線と声を向けるが、その二つが冷ややかでいて最後との言葉に圧されたようになりながら確認を向けてくる。
「貴女が謡将に会いたいというのはこれまでの事からよく分かっていますし、どうにかならないかと考えているのも分かります。ただシンクも含めて六神将を差し向け我らを殺すことも含めて止めるようにしてきたことから、それだけ謡将からしたなら我々は敵視されているというものになりますが・・・一応ディストには確認は取らせていただきましたが、導師以外の生死は問わないという形で我々を待ち伏せろとの指示が出されていたようです」
「そっ、そんな・・・っ!?」
「生憎嘘ではありません。まぁこの辺りは貴女がいても構わず計画を続けるつもりでいたからなのか、それか貴女の性格に実力を考えて様々な意味でリタイアをするんじゃないかと見越していた可能性もないとは言えないかと思います。ディストの話によれば我々の行動はほぼほぼ掴めなかったそうですから、貴女一人がいたかどうかを把握していない事もそうですが、貴女の性格的に我々と袂を別っていたり実力的に付いていけなくなって離れざるを得なかった・・・というようにです」
「っ・・・!」
「苦い顔を見せるのは貴女の立場からすればある意味当然ではあるかと思いますが、だからこそ最後の確認と申し上げたのです・・・謡将ならどうにかなると信じて付いてくるか、今の話を聞いたからこそ付いてくるのを止めるのかを」
「っ・・・」
そうしてジェイドが最後といった意味はいかな物なのか・・・ということについてを話していくのだが、ティアはその話に百面相していき最終的に苦悶の様子を浮かばせるしかなかった。ヴァンを信じる気持ちはあれども今の話は少なからずティアにとっては衝撃であり、付いていかないならその真意を明らかにせずに済めるということに。









.
16/19ページ
スキ