見えてくる未来の分かれ道

・・・そうしてロニール雪山から降りていきケテルブルクへと向かうルーク達だが、その道中でもシンクが二人を襲ってくるような様子はなく無事に一同はケテルブルクに辿り着いた。






「・・・さて。一先ず二人はこの街の軍の駐屯地に預けてきましたから、これからどうするのかをお話ししましょう」
・・・そうして宿を取ってから一時ルーク達の元を兵士達と共に離れていたジェイドとフリングスの二人が戻ってきて、もう大丈夫といった旨を伝えると一同は揃って頷いた。
「・・・それなら俺から言わせてもらうが、ロニール雪山ではアブソーブゲートかラジエイトゲートかどちらにいるかハッキリしないと俺は言った。だからこそ保険という意味合いも兼ねて、俺はアブソーブゲートとラジエイトゲートを二手に分かれて同時に向かうことを提案する」
「おや、貴方もそうすることを考えていたのですか」
「貴方もって、大佐もそうすることを考えてたんですか?」
「えぇ、それが一番妥当だと思ってです」
そこでまず最初に発言したのはアッシュでジェイドはその中身に同意を示すが、アニスがシンクロしたことを意外そうに漏らした事に当然だというように返す。
「念のためにディストにもどちらに謡将がいるかの可能性についてを聞いてみた所、まずアブソーブゲートにいるだろうとのことです。この辺りはディスト達が負けることも考えると共に勝つことも考えるならばこそ、敵を騙すにはまず味方からなどという裏の裏のそのまた裏といったような考え方は流石にしないだろうとの事からだそうです。ただそれでも念には念をというか、ラジエイトゲートの方にも同時に手を伸ばしておいた方がもしもの危険性を減らせると思ったからになります・・・まぁメリットばかりでは無いんですがね」
「メリットばかりじゃないとはどういうことなんですか、ジェイド?」
「単純な話として戦力の分散です。現在の我々の兵力を分けるとするなら二等分することが妥当だと思いますし、謡将が何かを仕掛けていた場合のもしもの事を考えるならパッセージリングは基本的に他のセフィロトからの操作は受け付けず現地で操作をしなければ操作は出来ないとのことです。なのでルークとアッシュの二人はもしもの場合はそのまま外殻大地の降下をすることも考えた上で、二手に分かれてもらうべきと私は申しています」
「っ・・・そういうことですか・・・」
そうしていかに二手に分かれる事が必要かもそうだがそのデメリットについても合わせてジェイドが説明すると、イオンもそうだがアニスも納得といったように真剣に頷く。
「・・・まぁ二手に分かれた方がいい理由ってのは分かったけど、イオンっつーかダアト式封呪の扉は大丈夫なのか?」
『その点は問題ない。その二つのセフィロトは他のセフィロトと違いダアト式封呪による封印はされておらぬ故、出入りは導師がいなくても出来る』
「あ~、そうか~・・・ん~、一つ思ったけどイオン。お前ここに残った方がいいんじゃねーか?」
「なっ・・・い、いきなりどうしたんですかルーク・・・!?」
その話にルークもダアト式封呪についてを聞くとローレライから問題ないといった旨の答えが返ってきたことに、少し考えた後にイオンへ話し掛けるとその中身にどういうことかと驚愕した。何故いきなり残れと言われるのかと。
「いや、だってお前今さっきダアト式封呪の扉開いたばっかだろ?そんでもしかしたら扉を開く必要があるのなら二手に分かれる意味なんてねーんじゃねーかとか思ったけど、そうじゃないんなら体調を考えりゃここで待機してもらった方がいいんじゃねーかって感じたんだよ」
「あぁ、確かにルークの言うことには一理ありますね。これからの事を考えれば強行軍で二つのゲートに向かわねばなりませんから、体調が優れないイオン様を連れていってもしもの事があれば目も当てられません」
「・・・だから僕は残った方がいい、ということですか・・・」
対してルークが先程の事を挙げた上でジェイドもその話に乗っかるように同調すると、イオンも微妙そうに納得の雰囲気を滲ませていた。行きたいという気持ちはあれども、体調の事を考えれば勧められた物ではないとのことに。









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