見えてくる未来の分かれ道

「さぁ行きますよジェイドにアッシュ!今まで貴殿方に散々振り回されてきた分、お返しを「エナジーブラスト」ギャアッ!?」
「ディスト!?」
ただディストはルークの内心になど気付かないままにテンション高く何処からか飛んできたカイザーディストの真上に飛ぼうとした・・・その瞬間ジェイドが放ったエナジーブラストが後頭部付近に炸裂したことにより椅子から前のめりに地面に倒れこみ、アリエッタは悲鳴にも似た声で名を叫んだ。
「・・・スプラッシュ!」
‘バッシャアァァァン!’
「・・・ぐっ・・・カ、カイザーディストが・・・!?」
しかし続けてジェイドは詠唱を終わらせたスプラッシュをカイザーディスト本体へと放ち、その水の滝を受けてカイザーディストが地面に叩き落とされたのを見て意識が朦朧としながらも頭を上げたディストが呆然とした様子で声を上げた・・・地面に叩き落とされたカイザーディストが、明らかに今の一発で空を飛ぶことが出来ずに活動不能になったのを見て。
「・・・貴方からすればあの譜業は自信作であったのでしょうし、まともに戦えばそれなりに手こずったであろうことは想像はつきます。ですがわざわざ敵が万全になるのを待つ理由などありませんし、ましてやあれほどの譜業です・・・堅固な城ほど内側からの攻撃には脆いと言いますが、スプラッシュ程の水が内部に入れば譜業は水に弱いという性質とその複雑さも相まって大ダメージになることは容易に想像がつきました。そしてこの譜業に貴方が入るタイミングを見越して攻撃させていただきましたが・・・こうなればまず一朝一夕にはこれは直せないでしょうね」
そんな中でジェイドはゆっくりと動かなくなったカイザーディストの方に近付いて手をつきながら一発で機能不全に陥った理由を解説していく・・・この状態は色々と狙って起こした物だと。
「ひ、卑怯ですよジェイド・・・」
「卑怯と思うのでしたらいくらでも罵ってください・・・すみませんが捕縛をお願いします」
「ディスト!」
対してディストはどうにか体を起こし何とか返すがジェイドはその声を流すように付いてきた兵士に命を下すと、アリエッタが駆け寄ろうとするが・・・
「・・・うっ・・・!?」
「これ以上動くな、アリエッタ。そしてお前の友達達に伝えろ・・・ここは引け、じゃなければディスト共々死ぬことになる・・・とな」
「・・・わ、分かりました、です・・・」
・・・すかさずアリエッタの前に剣を向け戸惑う隙にアッシュは背後に回り、首筋をいつでもかき切れるような状態にして有無を言わさない口調で命令を告げると、すぐにアリエッタは頷かざるを得なかった。下手に否定を返せるような状態ではないと嫌でも理解せざるを得なかった為に。



「・・・えっ、もう終わり・・・?」
「呆気に取られる気持ちはわかんねーでもねーけど、これでいいんじゃねーのか?つーかシンクって奴がここにいたらそれもどうなってたかわかんねーけど、そいつがいなかったからこうもうまく行ったんだろうしよ」
「それはそうだけど、何だかなぁ・・・」
そしてそんな光景にハッとしたようにアニスはなりルークはシンクがいないからだろうと視線を合わせることなく辺りを見渡しながら返すと、釈然としないというような声を漏らす。
「・・・何か探してるんですか、ルーク?」
「そのシンクって奴がどっかにいないかだよ。正直俺もここまでうまくいくとは思っちゃいなかったし、もしかしたら辺りで俺らの隙を伺ってんじゃねーかってな」
「そんなことを考えて、ですか・・・?」
「いくらなんでも都合よすぎっていうか、不気味だって思うからだよ。それに部下に呼ばれてとかってんならこの状況を見たらいきなり強襲とか仕掛けてくるかもとかっても考えてだ」
「そう、なんですね・・・」
イオンはそんな視線を一定にしないルークにどうしたのかと聞くが、口調に表情はいつも通りといったようながらも警戒心を露にしているその言葉に不安げな顔を浮かばせる。









.
13/19ページ
スキ