見えてくる未来の分かれ道

「・・・心の拠り所っていうのは誰にでも存在はすると思うけど、どういった物なのかを理解出来るかどうかっていうのは当人次第だって思う。そしてそれを理解したいかも、だ・・・その点でどっちのティアにも言えることは理解出来ないっていうか、理解したいともしようとすることもしてなかったように感じるんだ・・・」
「理解したくないし、しようとすることもしてなかった・・・か。今となって聞けば納得出来るな。ヴァンにルークに対する想いがあったからこそティアは行動出来たし我慢も出来たんだろうが、それが傍目から見たならどういったように見えるかにそれを変えるべきだというものになると見るのが普通な物から目を反らし、それにすがるのがティアからしたなら楽であるからそうしたんだろうとな」
「楽、なのは確かだと思うよ。ただもう少し言ってしまうと、そうしてすがるものに対して何らかの姿勢を見せればそれ以外を考えずに済むからそうしたいんだって考えるんだと思う。精々こっちと前のティアの違いは師匠との関わりの濃密さの違いから、周りに目を向けられるかどうかの余裕があるかどうかくらい・・・そしてその余裕があったからまだ前のティアは兵士として活動することは出来たんだと思うけど、こっちのティアのように師匠への傾倒の度合いが強くなかったってだけで兵士に向いているかいないかで言ったら、今となっちゃ俺はもう向いてないって思うんだよ」
「・・・確かに今となって考えてみれば、ティアが冷静であったかどうかと言われればそうだとは明言出来ませんね。見た目としては冷静沈着に振る舞ってはいましたが旅の間の様子を思い返すとあの顔の裏で何度か爆発した時はありましたし、結局は理屈としてルークが戻ってこないことを受け入れることなくずっと生きてきた事を考えればそれは表向きだけ・・・兵士として向いていたかと言われれば、実際はそうではなかったという事ですか」
「そういうことだよ・・・」
そうしてルークがいかにティアについて考えたかを話していき、アッシュとジェイドもその中身について納得していったのだがそれらを言い切った後にタメ息を吐く。
「・・・俺の中の『ルーク』から言われたことを伝えようって中で、これを言っていいか悩んだんだ。ただこのまま行ったらティアが師匠への気持ちからこっちを裏切るって言うのもそうだし、どういった形で生き残ったとしても兵士としてって言うのは無理だと思ったからあぁ言ったんだよ。特に師匠がいなくなった後の事を考えればそれこそ兵士としてどころか、他の職についた所でまともに働けるかって考えるとさ・・・」
「今の話を聞いてみれば間違いなくティアが兵士として活動出来るなど今までの経緯もあってまず思えませんし、むしろこれまで以上にダメになるのが目に見えますね」
「だろうな。だが今までのティアから考えれば何も言わなかったならあのままかそれ以上に兵士を辞めないと意地になっていただろうし、導師もどうするべきかと頭を悩ませ続けていっただろうな」
「あぁ・・・だから色々な意味を含めてあんな風にな・・・」
そのままいかにルークが悩んだ上で発言したのか・・・それらを余すことなく話していって、またタメ息を吐かんばかりにそっと頭を下げた。二人は理解してはくれたが、だからこそティアに対して言ったことは効果はあってもルークとしては何とも言えない気持ちになった為に。










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