「・・・ま、二人からも色々と言われたのは堪えただろうけどよ・・・正直別にお前からすりゃオッサンがいなかったら兵士なんて職業じゃなくても何でも良かったんじゃねーのか？」
「っ・・・そ、そんなこと・・・」
「んじゃ、お前の中にオッサン以外の為の何かの為になんて気持ちなんてあんのか？今お前に預言の事だったりで俺からこう見えたってことを話したけど、それを強く否定出来るだけの何かがよ」
「それ、は・・・それは・・・」
そんなティアに指を下ろしてヴァン以外への気持ちがあるのかを問うルークだが、出てくる言葉は虚ろでいて何か探そうとしているようなさ迷う視線と声ばかりで、その姿にそっと首を横に振る。
「・・・これまでで散々お前があのオッサンに対しての気持ちがあるって様子を見てきたのはここにいる奴らなら全員知ってるし、誰かの為を思うことが別に悪いことだとは思わねーよ。けどその気持ちが強すぎるってのを感じた上に、お前自身はその気持ちまでは認められてもそれ以外の事に対しての気持ちが俺からしたら滅茶苦茶薄いって感じたのは今言った通りだが・・・もういい加減認めたくなくても認めるべきだってお前自身でも感じるだろうし、認めてどうするか考えた方がいいって思ったから言ったんだよ。兵士なんて似合わねーし向いてねー仕事なんて辞めとけってことに、このグランコクマで何もしねーで過ごしたようにオッサン以外の事についてを小さな事だって思って時には体を張って誰かを守るなんて出来ねーってんなら尚更にってな。実際お前魔物相手なら強そうな奴はあからさまに避けてたけど、六神将みたいに人間だけど明らかに自分より強い奴だって見切れるかどうかも怪しいし、その時にそんな奴と対峙したら色んな意味で降参とか逃げるとか兵士としての立場で出来んのかってなるだろうしな」
「っ！！」
「ま、俺から言いてーのはここまでだ。後はどうするかは道中で考えとけよ・・・考える時間は十分かはわかんねーけど、一応まだあんだからな」
「・・・」
そうしていかにヴァン大事という気持ちだけではどうにもならないというか、それだけでは解決しない物もあるのか・・・それらを現実的な視点も交えて語っていくルークに対して、ティアは最早悪態すらつくことも出来ずに呆然とするしかなかった。意地だけで大丈夫と否定するにはあまりにもティアからして痛いところだけを突かれ、そんなことないと言葉に出来なかった為に。



(『あ～、スッキリした～・・・ありがとよ、色々言ってくれて』)
(二人からの援護の言葉もあったからこんなにうまくいったんだけどな。ただまぁ俺としても言っておいて良かったって思うよ・・・これからの事を思うと尚更にな)
・・・それでティアが今までにない形で衝撃を受けてうなだれ沈黙が辺りを包む中、『ルーク』からの礼の言葉にルークは自分も必要だったろうというように思ったからと返す。






・・・ルークがいきなり今のようなことを切り出したのは『ルーク』からの要望があってのことである。いくら自分が知らないことが多いからと言っても、ルークに身体を謙るのは間違いなくはあっても自分の言いたいことを伝えてほしいと。

そういった要望を受けたルークは、自身が考えていたこともあってそれを受け入れて今のように話すようにしたのである・・・









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