見えてくる未来の分かれ道

「・・・ローレライ教団に、神託の盾ではそんなことが頻繁に起きていたというんですか・・・?」
そんな中でイオンが悲痛といった表情で嘆きの声を漏らす・・・そんな裏の事情など知りたくなかったというよう。
「残酷なように思うだろうが事実だ。そしてそういった汚れ役の仕事をこなしてきたからこそローレライ教団が成り立っていた部分があるのもまた事実・・・何せ預言の為にと犠牲になりそれで不満を持ったりした者達を秘密裏に排除していたから、表向きは何事もないというようになっていたんだ。預言に、引いてはローレライ教団に問題はないというようにな」
「そんな・・・」
「それだけ預言保守派からすれば預言や自分達に反発する者達の存在は認められる物ではなかった上に、そんな発言の数々を放っておけば教団の活動にも大いに差し障りが出てくるからこそだ。まぁその辺りは改革派というような形でダアトの中でも動きはあったようだが、それでも保守派に加えヴァン達一派に過激派が集められた事からその改革派にダアトの根幹を変えることは無理だっただろうとは想像は出来るがな」
「無理だったなんて・・・」
「とは言え、あくまでそれは以前ならだ」
「え?」
しかしアッシュは嘘ではないと話を進めてイオンはより一層悲痛さを増した空気を滲ませるが、突如として違う言葉を口にしたアッシュにキョトンとした声を漏らす。
「今の状況から分かるだろうが、預言は最早守られるべき物ではないというのが実情だと多数の者が知り出している。そしてその上でユリアシティの者達も話を聞いて預言を守り抜く事の是非を考えざるを得なかったであろう上で、何より言えることとしては最大の障害であったモースもあのような形でいなくなったことが大きい。そこでうまく行かせればそういった汚れ仕事をさせるようなことは次第に無くなっていく可能性は十分に有り得る・・・プラネットストームを止めたとしたなら、預言を詠む事などそもそも出来なくなるからな」
「そ、それは本当ですか!?」
「だが勿論それだけの苦難は待ち構えている。プラネットストームを止めて預言が詠まれなくなるのなら当然今まで預言に頼りきっていた者達の不満は事実を明らかにしても簡単には抑えきれんだろうし、ダアトに見切りをつけて都合のいい預言が詠まれる環境の復活を目論む者が出てきたりと問題が起こりうる可能性についてを挙げれば枚挙に暇はない。それらについて楽観視するようなことをすれば汚れ仕事もそうだが、オールドラント全体にモースのように都合のいい預言復活を祈願するような流れが出来るだろうな」
「っ・・・そんなことにはさせません・・・ここまで来たんですから、どうにかうまく行かせたいと思います・・・!」
そうして希望と困難・・・この二つを上げて落とすという形で口にしていったアッシュだが、それでも今までの話の中身から一瞬戸惑いはしたがダアトに教団の改善に関してをイオンはやってやるというようやる気に満ちた表情を浮かべて言葉にした。そんなことにはならないようにしていくと。



(『イオンがやる気になったのはいいって言いたいけど、想像以上に困難だよな・・・その道って』)
(でもイオンに生きていてもらう以上は導師として活動することは必須になるからな・・・この辺りは覚悟してもらうくらいしかアッシュも無いと思ったから、こう言ったんだろうしな・・・)
そうしてそんなやり取りに終わりと見た所で、ルーク達は話し合う。言葉にはしているが、これからの事を考えればそれ以上にイオンには困難が待ち構えているのだということを・・・









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