見えてくる未来の分かれ道

「そもそもを言うならヴァンの手勢に関しては一部は外部からの引き入れの者もいるにはいたが、それでも大多数の者達は他の者達と同じような形で神託の盾に入ってきた者達だ。しかし何故それがローレライ教団に反旗を翻すような形でヴァンに付くことにしたのかと言えば・・・教団の暗部とも言えるモースのような奴らの命令で、神託の盾として動く事に嫌気がさしたからだ」
「えっ・・・それだけ・・・?」
「それだけ、というように聞こえるかもしれんが考えてみろ・・・極端な話に聞こえるかもしれんが、預言に詠まれてるから子どもの命を奪えと言われたならお前は預言に詠まれてるからと平気で命を奪えるか?」
「っ!・・・それ、は・・・」
「答えにくい質問だっただろうことをしたのは承知はしている。だが今言ったようなレベルまではいかずとも、神託の盾において警護であったり魔物の討伐で済むというような単純な任務で済む者もいれば・・・いわゆる汚れ役と呼ばれるような任務を言い渡され、夢を打ち砕かれた者達が多々いたのだ。こんな事をダアトにローレライ教団が影で起こしてきたのかと知らされる形でな」
「っ!・・・そんな人達を謡将は見付けて、仲間にって勧誘したってこと・・・?」
「そういうことだ」
・・・いかにヴァンは自分の側の仲間を見付けて、増やしてきたか。
アッシュの話を深く聞いていく中でいかに神託の盾として過酷であり、残酷な事が起きたのか・・・それらからどういうことかとハッと顔色を悪くしながら察したアニスに、アッシュは頷き返す。
「モースのような輩からすれば使えればそれでよしで、使えないなら見捨てるなりヴァンのような以前から知る従順な奴に排除させるなりすればいいと思ってそうしていたのは目に見えているが・・・従順なフリをしているヴァンからすれば、言ってみればそういった人材は自分の側に付いてくれる可能性のある者になる。そして甘い言葉を吐いて自身の野望についてであったりモース達の事についてを明かせば、大概は落ちる・・・というわけだ」
「・・・だからアッシュは似たり寄ったりって言ったんだ・・・そういった人達ばかりを集めてきたから、謡将を頼る人達ばかりがいるって・・・」
「そういうことになる・・・話を聞いてモースのような奴らに忠誠を揺るがず抱き続ける事が難しいだろう事は今ならこの場にいる皆なら理解出来るだろう。そしてそれらを変えたいと思うなら一番手軽でいて身近な存在は、その話を持ち掛けてきたヴァン以外にいない・・・何せダアトやローレライ教団にヴァンと同じような考えを持つ者など、ヴァンとその手勢以外に存在する方がおかしいからな」
「・・・あ~・・・確かにそんな人がいるってなったら悪目立ちするだろうし、モースのようなのからしたらそれこそ排除って言い出すだろうから、それこそ謡将以外にいないか~・・・」
「そうだ。そしてヴァン以外にいないからこそそういった奴らはヴァンを頼る以外になく、奴らの元に所属していく内に同類となっていって他の預言に頼りきって疑いもしないどころか、預言の為にと平気で残酷な事が出来る者達を見限り見下しているというわけだ。もう預言にローレライ教団など信じるに足りるわけないだろうとな」
更にいかな状態になってヴァンに見初められ、その一味になっていくか・・・それらを聞いていったアニスはそういうことなのかと納得し、アッシュはだからこそ教団やダアトには今更靡かないだろうというよう締め括る。









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