影で動き影で処する

・・・アニスの為に動くのを止めるという話にしたのは、アニスも含めてタトリン一家に関わりすぎるのは以降の二人の立場から考えて望ましくないということがあるからだ。

ルークは勿論後にいなくなるから仕方無いが、アッシュは後のキムラスカ国王になる身でジェイドはマルクト軍にて欠かせぬ存在になる。そんな二人がいくら旅を共にしたからとは言え、ダアトの要職に就くことは以前とは違ってない一軍人の家族に気をかけるなど色々無理があるし・・・何より今回は何も知らないというような体を表向きは取るのだ。それらを考えれば今のこの状況で出来ることをやってしまった上で、もう以降は完全に自己責任にしてしまった方がいいと思った上でのトリトハイムとの会話で自分達がまとめて決めたことなのである。

一応はここまでお膳立てをしたならアニスと両親達は物理的に近い距離にはいれなくなるのは確かであるし、アニスがそれでもと言い出しても制止策はトリトハイムには授けてはある・・・ただそれでもアニスが両親の為にという気持ちから別方向に動きかねない可能性は残っているが、もうそこまで来てしまえばドツボにハマろうがアニスの個人の自由からの行動になると思った方がいいという結論に達したのである。完全にどうにかタトリン夫妻の事を止めるには言葉だけでというのは三人が集まっても無理だろうとなり、それでも止めるとなれば前にも話に出したよう・・・殺して終わらせるくらいの事をしなければ、どうにもならないと。

ただやはりまだ気持ちとしてはどうともという部分はルークにはあるが、後を任せるという申し訳無さにタトリン一家がどういう風に歩んでいくかは完全には分からない・・・故にこそルークはそれでいいとしたのである。タトリン一家に関してはもうここまでの処置で済ませて、後は自分達だけで済まさせようと。






「まぁ取りあえずはあさってまではイオン様の体調を考えて休みを取っていますから、それまではゆっくりと休みましょう。グランコクマに戻った後はロニール雪山に向かい流れでそのままアブソーブにラジエイトのゲートに行って謡将達と戦うと言った事になるでしょうから、鋭気は養っておきたいです」
「そうだな、そうしよう・・・」
そうしてジェイドが空気を変えるようにこれからの事を口にし、ルークもまた頷き返した・・・アニスの事はまだ引っ掛かりはあれども、これからの事を考えれば待ち受けるヴァン達に集中しなければならないと・・・









事態はいつでも何処でも動くもの



望もうが望むまいが、表であろうが裏であろうが



裏で動いた者達に気付けないまま、決定を受けざるを得なくなるだろう



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