始まりの時と見定める境界

・・・ティアが起きた後に交わした会話。それはルーク達二人にとってあまりにも気持ちのよくない物だった。

起きて周りの状況を確かめるまではまだ良かった・・・だがそれで落ち着いたティアから向けられた視線は隠しもしない苛立ちを込めた物で、余計なことをしてくれたと吐き捨てるような言葉だった。

その言葉にルークは動揺しこそしたが演技をしつつお前が屋敷にあのオッサンを襲ったからだろうがと返すと、迷惑をかけるつもりはなかったし邪魔さえしなければこんなことにはならなかったとまったく悪びれる様子もないばかりかルークが全て悪かったと言わんばかりに返してきた。

そしてその上でもうこうなったからには仕方無いし、気乗りはしないけれど一応巻き込んだことから貴方をバチカルまで送ると言われたのだが・・・一応前の最初くらいにまで手加減を分からないようにしているルークに対し、こちらのティアは大して戦闘に関しての手解きとも言うべき講釈をしてこなかったのだ。

この事にルークは内心驚いたのだが、それ以上に驚いたのはその後に出てきた「貴族のお坊ちゃんにしてはやるわね。これなら前線を任せても問題は無さそうね」と言った後に何もルークと話そうともしてこないのだ・・・






(いくらなんでもここまで酷くはなかった筈なんだけどな・・・俺の時を振り返ると今ならあの時のティアは余裕がなかったって思えるけど、こっちのティアは余裕がないとかそんな領域どころの話じゃないし・・・)
(『つーかこいつ、あのオッサン以外に目に入ってないだろ・・・下手するとイオンって奴相手でもこんな風になるんじゃねぇのか?』)
(それは流石にない、って言いたいけど・・・あ~、エンゲーブで会うのが何かすげぇ嫌になってきた・・・ジェイドとは合流したいけど、そこでイオンに全く敬意すら払おうともしなかったら、マジでジェイド達と合流出来てもどうしようもなくなる気がしてきたぞ・・・)
それで頭の中で会話をする二人だが、やはり先程の事が尾を引いていてどちらも決してティアに対していいイメージを抱けないといった中身だった。
(『・・・と言うかよ、こいつなんでこんなに偉そうにしてんだ?』)
(えっ?いきなり何だよ?)
(『いや、こいつって別に俺って存在が相手だからとかって敬う気はないのは分かるんだよ。話には聞いてたし、別に俺も一々そんなことにこだわるつもりもないし・・・けどこいつのこの態度ってそう言ったのを抜いても抜かなくても、やけに自分偉いんですって気持ちがつえぇって感じるんだよ。まるで自分が誰より一番とは言わなくても、滅茶苦茶偉いんだって言わんばかりによ』)
(それは流石に言いすぎじゃ・・・)
(『そこまでじゃねーにしたって、さっきの会話からしてお前に対して全く申し訳ねぇなんて気持ちがなくてマジで渋々同行してるってだけなのは確実だろ・・・それにこっちのこいつはそうで確定でいいにしたって、お前が一緒に旅した方のティアの方も正直そんなとこあったんじゃねぇか?こっちの方より多少マシって程度でよ』)
(っ!?・・・それ、は・・・)
そんな時にふと『ルーク』から疑問として出てきた言葉に最初こそ否定を返していたルークだったが、多少マシ程度との言葉に言葉を詰まらせてしまった・・・否定しようにも否定を出来ない言葉だと、ルーク自身感じた為に。









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