影で動き影で処する

「そしてそんなアニスをユリアシティから極力出すようなことなく、ましてやダアトに戻らせることなく働いてもらうことが一種の罰になるかと私は思います。タトリン夫妻と会うことはイオン様とダアトを出るような時にはそう無かったかと想像は出来ますが、おそらく事態が沈静化したならイオン様はダアトから出ることはそうそうは無くなると思う上で、そもそもの話として導師守護役の人員についての見直しも必要かと思いますからね」
「確かにそうですね・・・人事権を握っていたのが大詠師であったこともそうですし、元々の基本の側付きの導師守護役であったアリエッタもいきなり役目を解除されたということですから・・・一度大詠師の周辺の調査も含めて導師守護役の制度の見直しをするといったようにした後、今言ったような理由でユリアシティに送るようにしましょう」
「それが妥当な所でしょう」
そんな処置についてにいかに今の導師守護役という物のシステムやら状態についてを口にするジェイドにトリトハイムも考え込むように言葉を口にして行き、頷き返すジェイドはそこで表情を引き締める。
「・・・おそらくアニスがスパイをしていたのは言うことを聞かねば両親の命が危うい、もしくはアニス自身にも危険があった可能性からというのは承知しています。ですがスパイをしていたという事実は確かではありますし、それにより何らかの罰はそちらからしても与えなくてはならないでしょう。しかし事を大きくするのも望まれないのは先程申し上げたように事実・・・ですからこそアニスにはそういった処置を取り、何らかの不平不満を口にしてきた時はスパイの事実を把握したからこうしているというように言った上で、改めてマルクトに事情を説明した上で身柄を引き渡すようにするとでも伝えればそれで彼女は止まらざるを得なくなるでしょう」
「確かにそれくらい言えばアニス=タトリンも自重はするでしょうが、タトリン夫妻に関してはどうするのですか?隔離の中に入れるとは言え、そちらも娘が戻ってこないことにだったり隔離されて借金を出来ないことに対して不満を持たないとは限りませんが・・・」
「そちらに関してはアニスと会えないのはダアトから出て任務に着いていると言えばよろしいでしょうし、借金はもう出来るような物ではないと返せばよろしいでしょう。それで尚不満だと申すようでしたら最悪その両親を見捨てるようにした方が早いかと思われます。理由として借金に関しては正確に言えば一個人の権利であって犯罪に当たらないということに加え、モースがそれを元にアニスの首根っこを掴む形で言うことを聞かせていたのでしょうが・・・それを知らずに借金をいくらでも出来るというように思っているのだというなら、その思い上がりについては自身らで誤りだと知ってもらった上で尚且つアニスに報せないままにして助けを出させないよう、助けさせないようにしてしまえばいいかと思います。繰り返すようですが借金は一応は犯罪ではありませんが、借りた物を返すのは常識としては当然なのですから当人達の責任として返させるべきであり、そう出来ないようであれば誰も助けないように見捨てさせるのが他の方々の為にもよいと思いますから」
「・・・酷なことのようではあるけれど、それくらいするのがアニス=タトリンに他の者達の為になるということですか・・・借金を共に負担するといったような事にさせないという意味合いもあって・・・」
そうしてアニスと夫妻・・・どちらにとっても決して楽とは言えない処置といったように自身の考えを口にして行くジェイドに、トリトハイムもその中身に理解が出来たというように重く漏らした。特に夫妻に関してはより、そう思ったというよう。









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