影で動き影で処する
「おそらくこれだけの金額を借りているアニス=タトリンの両親はまず間違いなく騙されているかどうかなど深くは考えていないでしょう。ですが今すぐ金を返せとしない代わりにスパイをやれと、アニス=タトリンに強要していたとしたなら・・・」
「まず確実に彼女は受けざるを得なかったから受けたのでしょう。彼女の性格に金銭感覚については旅の中で把握していますが、そんな自分はお金は使わないから誰彼にとばらまくどころかむしろ真逆な様子を度々見せてきました。そういった態度からアニスは両親の借金に関して相当苦労してきたであろうと共に、そこをモースに付け込まれたのでしょう。ただここで問題として言わせていただくなら、この証拠を単に大詠師がやったことだと金貸しなどを排除するだけでは良くないかと思われます」
「それだけでは良くない・・・?」
それで借金とタトリン一家に関する話題が続く中でジェイドが口にした良くないとの言葉に、トリトハイムは眉を寄せる。
「前に聞いたことがありますが、そういった人を騙したり食い物にするような輩達は独自のネットワークを持っているそうです。ここに住むこの家族は騙しやすいだとか、付け込む隙があるといった情報を共有するようなネットワークを・・・一応事情聴取を元に金貸しや悪徳業者を摘発出来るとは思いますが、まだそういったことをしていない者達までもの摘発は難しいかと思われます」
「あぁ・・・根絶は出来ないことについてを危惧しているということですか」
「はい。そしてもう一つ言わせていただくならそういった者達の根絶よりも、むしろ問題なのは・・・無頓着でいて金を使うことに抵抗のない、アニスの両親のような方々の心を変えることです」
「っ・・・成程・・・確かに大本の問題であると共に、その者達をどうにかせねば似たような事が起こる可能性が高いという事を言われているのですか・・・」
ジェイドはそこで二つ・・・業者と夫妻達のような者達のどちらにも解決が必要だと言い、特に後者についての重要性にトリトハイムも冷や汗混じりに納得した。後者をどうにかせねば元の木阿弥になりかねないのだと。
「そういうことですが、更に問題になるのはこの問題を解決したいというのであれば下手に公にしない方がいいと私は見ています」
「下手に公にしない方がいい、とは・・・」
「様々に理由はありますが、現状で最もな問題になるのは我々からしての立場も合わせて言わせていただくとイオン様のメンタルになります」
「メンタル・・・と言うと、アニス=タトリンの立場を惜しんでであったりその苦境についてを嘆くといったような事を懸念しておられるのですか・・・」
「はい。現状でイオン様には必要なことであったとはいえ、ここ最近で随分と心苦しい話を聞いていただいたり決断もしていただいたりとしています。その上で今アニスがそういった事情から我々の元を罰も与えられる事を視野に入れられ、離れるようなことになれば一気にイオン様のメンタルは弱まってしまうでしょう。我々としてはそんなことになるのは望んでいませんが、現在のイオン様からアニスまで事情があるといえ離れることになれば後々まで響く事になると思われます」
「だから下手に公にしないようにしてほしいと思われたのだとは理解はしましたが、他にもまだ理由はあるのですよね・・・?」
「はい、勿論」
だがそれを下手に急いで欲しくない理由があるとその中の一つにイオンがあると言い、納得しつつまだ先があるなら聞きたいとトリトハイムは促す。
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「まず確実に彼女は受けざるを得なかったから受けたのでしょう。彼女の性格に金銭感覚については旅の中で把握していますが、そんな自分はお金は使わないから誰彼にとばらまくどころかむしろ真逆な様子を度々見せてきました。そういった態度からアニスは両親の借金に関して相当苦労してきたであろうと共に、そこをモースに付け込まれたのでしょう。ただここで問題として言わせていただくなら、この証拠を単に大詠師がやったことだと金貸しなどを排除するだけでは良くないかと思われます」
「それだけでは良くない・・・?」
それで借金とタトリン一家に関する話題が続く中でジェイドが口にした良くないとの言葉に、トリトハイムは眉を寄せる。
「前に聞いたことがありますが、そういった人を騙したり食い物にするような輩達は独自のネットワークを持っているそうです。ここに住むこの家族は騙しやすいだとか、付け込む隙があるといった情報を共有するようなネットワークを・・・一応事情聴取を元に金貸しや悪徳業者を摘発出来るとは思いますが、まだそういったことをしていない者達までもの摘発は難しいかと思われます」
「あぁ・・・根絶は出来ないことについてを危惧しているということですか」
「はい。そしてもう一つ言わせていただくならそういった者達の根絶よりも、むしろ問題なのは・・・無頓着でいて金を使うことに抵抗のない、アニスの両親のような方々の心を変えることです」
「っ・・・成程・・・確かに大本の問題であると共に、その者達をどうにかせねば似たような事が起こる可能性が高いという事を言われているのですか・・・」
ジェイドはそこで二つ・・・業者と夫妻達のような者達のどちらにも解決が必要だと言い、特に後者についての重要性にトリトハイムも冷や汗混じりに納得した。後者をどうにかせねば元の木阿弥になりかねないのだと。
「そういうことですが、更に問題になるのはこの問題を解決したいというのであれば下手に公にしない方がいいと私は見ています」
「下手に公にしない方がいい、とは・・・」
「様々に理由はありますが、現状で最もな問題になるのは我々からしての立場も合わせて言わせていただくとイオン様のメンタルになります」
「メンタル・・・と言うと、アニス=タトリンの立場を惜しんでであったりその苦境についてを嘆くといったような事を懸念しておられるのですか・・・」
「はい。現状でイオン様には必要なことであったとはいえ、ここ最近で随分と心苦しい話を聞いていただいたり決断もしていただいたりとしています。その上で今アニスがそういった事情から我々の元を罰も与えられる事を視野に入れられ、離れるようなことになれば一気にイオン様のメンタルは弱まってしまうでしょう。我々としてはそんなことになるのは望んでいませんが、現在のイオン様からアニスまで事情があるといえ離れることになれば後々まで響く事になると思われます」
「だから下手に公にしないようにしてほしいと思われたのだとは理解はしましたが、他にもまだ理由はあるのですよね・・・?」
「はい、勿論」
だがそれを下手に急いで欲しくない理由があるとその中の一つにイオンがあると言い、納得しつつまだ先があるなら聞きたいとトリトハイムは促す。
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