影で動き影で処する

(『ま、まずはさっさとダアトに行ってからだな。ここで話してても何もならないからな』)
(だな)
しかしその事を深く掘り下げる必要はないと、ルーク達はダアトの方に視線を向ける。


















・・・そうしてダアトの近くの平原に降り立った為にすぐにダアトに入ったルーク達は周りを気にすることなく教会に足を運んでいき、導師の部屋にまで行って近くにいた兵にトリトハイムを呼ぶようにとイオンが頼んで待つことになった。

そうしてしばらくした後にトリトハイムが現れた為、ルーク達はこうしてダアトに来た経緯についてを説明した。無論モースについてはちゃんと誤魔化しを入れたものに関してをだ。



「・・・ま、まさかそんなことになっていたとは・・・」
「信じがたいという気持ちは分かりますが、バチカルでの出来事に関してはインゴベルト陛下達もやむを得ずとは言え、大詠師を殺さざるを得なかった事についての謝りの文書があることから嘘ではないと分かるはずです」
「う、うむむ・・・導師もその場にいて現場を見ていたというなら、本当なのですね・・・」
「っ・・・」
・・・そんな形で説明が終わりジェイドの念押しとその手に渡された文書についてにトリトハイムも大袈裟ではないのだと緊迫したように漏らすが、そこでそっとイオンが辛そうに拳を握りこんでいたことには気付けなかった。
「ですが現状ではその事についてをおおっぴらに公表する訳にはいきませんし、ましてや謡将達の行動に関してを見過ごすわけにはいかないのは貴方も今の話でお分かりになられたと思いますがどうですか?」
「はい、それは・・・未だに信じがたいという部分は確かにありますが、それでも謡将達のやろうとしている事が現実に起きてしまったならまずいなどといった言葉一つでどうにも言えないということは・・・」
「そう理解していただけるというなら、貴殿方にやっていただきたいことがあります」
ジェイドは尚も話を続けトリトハイムも事態が緊迫している事についてを重く理解したと漏らした事に、やってほしいことがあると口にする。
「まず何をしていただきたいのかについてですが、我々は三日ほどこのダアトに滞在する予定でいます。それは大詠師を始めとして様々に出てくるであろうダアトの問題点についてを話し合い、イオン様がいない間のダアトをいかに平穏な状態に治めていただくかの段取りの為にです」
「・・・治める、ですか」
「はい。本来であれば貴殿方からしたならイオン様に戻っていただいてもらいたいだろうというのは承知していますが、残りのセフィロトに続くダアト式封呪の扉を開いていただくことはこちらとしては続けていただきたいと思っています。ですのでまだしばらくはそちらにダアトを治めていただくのが妥当だと思っていますが、どう思いますか?」
「・・・それは、確かにそうでしょうな・・・今の時点で導師がダアトに戻られるのは確かにこちらとしては望ましいですが、状況としてそれは望ましくないというのは分かります・・・ですからこそ三日という時間で我々だけでもどうにかなるようにと調整するということですか」
「えぇ、そういうことです」
それでいかにこの三日間で動いた上でトリトハイム達だけで頑張ってもらうのかの舞台を作るのか・・・そう聞かされたトリトハイムも複雑さを滲ませながらも、理解するしかないままにジェイドの頷きを受けた。イオンが今の状態では帰れぬからこそというのはやはり大きいと。









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