砂上の楼閣の終わり

・・・それでキムラスカがルーク達へと協力して和平に外殻大地の降下を行うということにしてナタリアが戻れる環境になったのだが、そういったことからナタリアに対して文句を言える環境ではなくなったのだ。それはルーク達が一度目にヴァンを倒して不穏なことが再び起きてるんじゃないかという際、ナタリアもルーク達に付いていくという事になったことから明白である。

その時にナタリアは即断でルーク達に付いていくと、他に公務があったにも関わらずその場から行動を共にした。ルーク達が動いているからとか自分が動かなければどうするといったような気持ちを口にしてだ。だがそれは結果的にはさも正着点と言ったような流れにはなったが、そもそもからしてその行動は臣下が認めていたのかと言われれば決して肯定されるような物ではなかった。むしろバチカルを抜け出した前歴から考えれば、反感を持たれていたと考えるのが普通だろう。

しかしそれを言えなかったのはそれこそ結果的にその行動が正着点に辿り着いたといったようになったからに加え、ナタリアの立場的に色々と言いにくいと言った部分があったからだ。偽物と明かされはしたが結果的にはキムラスカとマルクトの関係を和平にまでこぎ着けさせる事が出来た事や、先述したキムラスカ上層部の行動があってナタリアの事を批判するには色々難しい部分が大きかった事でである。

特にキムラスカとしては他のルーク達の行動があったからとは言え和平の話を持ち掛けられていなかったなら、どうなっていたか分からないと言った状態になっていただろうことが大きかった。外殻大地の降下の事があったから一時戦争の中断に繋がったとはいえ、ルーク達が行動を起こして和平を切り出さなければキムラスカ側から本当の意味での和平を口にしていたかと言われれば・・・否としか言えなかっただろう。切り出したとして一時停戦して外殻大地降下が済んだらまた戦争をと画策するくらいで、切り出さなかったならそれこそ後がどうなろうと今の外殻大地の状態がどうであれ戦争再開だという流れにしかならなかったのは明白だったのは確かだ。

それをルーク達がいたからとは言えナタリアが和平にまでこぎ着けさせ、更にはヴァン達というオールドラント全土を住まう人々もろとも滅ぼしかねなかった存在まで止めることが出来たのだ・・・そんな様々な事情が奇跡的に噛み合ったのもあり、ナタリアが再びルーク達に付いていくことになったのに強く止められる者は誰もいなかったのだ。それもインゴベルトや公爵も含めてである。

そして結果としてナタリアはルーク達と共に復活したヴァン達にモースを止め、オールドラントの終焉が訪れることを食い止める事が出来たのであり、三年後にエルドラントから奇跡的に戻ってこれたアッシュと劇的な形で結婚することになり・・・端から聞く分にはこれ以上ない程に王女として、女王として立派と言える成果を出したのである。そしてそんな結果を出したからこそ・・・外には最早ナタリアの醜聞を撒き散らすようなことが出来るはずがないと、アッシュを始めとして貴族や使用人達の苦労が大きくなったのである。自分のやりたいことに関してを優先して行おうとし、周りの考えについては自分のやろうとしていることを優先させることがそちらも正しいと勝手に思っていくナタリアの舵取りの苦労に・・・









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