砂上の楼閣の終わり

(『・・・ただそれで後はナタリアがこれまで以上に勝手をしなかったら現状維持ってことになるんだろうけど、やっぱりそれは無いよな・・・』)
(そりゃな・・・むしろそうならない方が不思議っていうか、それを前提に考えたもんだからな・・・さっきの叔父上達にした話は・・・)
『ルーク』はそれを踏まえた上でナタリアについてを重く言葉にし、ルークもまた重く返す。ナタリアが大人しくしないだろうと見た上で、それを見越して話をしたことに。






・・・先程の会談の話の流れに関してだが、所々インゴベルト側にイオンの言葉が挟まったりしたがほとんどルーク達の考えた展開通りの物であった。ナタリア本人からしたなら決して明るい未来が待っておらず、そして言葉にこそはしてはいないがいずれナタリアが行動を起こして自分自身の行動で首を締めるだろう展開にすることは。

これに関してはルークとしては心苦しい物があるのは事実だった。実際の所としてあれだけの処分を取られてもナタリアが挫けきれずに立ち直り行動すべきと思うだろうし、そうして行動したなら待っているのは本格的に王女としての立場に地位が失われ、生きているだけどころか下手をすれば民よりいい暮らしをしてるだけマシだろうという状態になることに関しては。

しかしそれを実行に移さねばならないとなったのはやはり、これからの事を考えればこそアッシュが苦心しないようにするべきことだと考えたことである。どうした所でナタリアが王女として普通に活動出来るような状態にあったなら、アッシュが苦労するだけだと・・・






(『ただ考え方としてはジェイドの言ったようにナタリアが本来は王女としているのがおかしいっていうより、それを正す為に動くって思わないとな・・・ナタリアには同情的な気持ちになるっていうのはさておいてな・・・』)
(そもそも前に王女に残れてたのは政策とか政治に取り組む姿勢のイメージが民に良かったからってのもあったし、一方的な都合でナタリアを殺そうとしたっていうのをバラされたからそこから更にキムラスカの民の信望を下げるわけにはいかないからってのもあったらしいんだけど・・・今回はそうならないことから民に対しては誤魔化しは必要だろうけど、事実を知ってる貴族達や使用人達の事もあるからやることやらないといけないっていうのもあるからな・・・)
更に二人は会話を深めてしていく中、ルークは今の状況は周りから見ても必要だろうと何とも言いがたげに漏らす。






・・・そもそもからしてナタリアが王女として、そして女王として居続ける事が出来たのは様々なハプニングが起きた上でルークが言ったように下手に排除と言ったような流れにする事が望まれないといった部分があったからだ。

以前は事実を明かされたインゴベルト達はモースの言うことを聞くままにナタリア達を排除しようとしたが、それはアッシュが助けに来た上で民達の行動によりバチカルから逃げ出すことで無事事なきを得た・・・だがそういったことから当時のルーク達は深く考えはしなかったが、インゴベルト達の事実を知りつつ黙って行動せざるを得なかった者達と、他の民を始めとした者達との間に険悪な空気がしばらくバチカル内で流れていたのだ。

これはマルクトとの戦争についてもそうだが、ナタリアの入れ換えの預言やその事実についてインゴベルト達がぶちまけてしまうことが出来なかったからと言えた。何故ならマルクトとの戦争についてはともかくとしても、ナタリアの入れ換えがありましたから事実の隠蔽かもしくは騙されたから殺そうとしました・・・なんて馬鹿正直に明かせるはずもなかったからである。

もしそんなことを言ったならお前らにも責任があるだろうと言われることもそうであるが、モースとダアトに対しても批難の矛先が向いていただろうことが想像出来たからだ。特にモースに関してはそんなことになれば、反感を持つ民など殺してしまうのですと言い出したのはまず間違いなかっただろう。

だが流石にキムラスカの首都であるバチカルの、それも王の住まう城のお膝元の街の人々を惨殺してしまう・・・それも自身らが望んでいない形でやってしまえば踏んだり蹴ったりどころの話ではなくなる為、インゴベルト達は民を始めとして事情を知らない者達の不満は分かりつつも何もせずに済ませ我慢するしかなかったのである。ナタリア達がまたバチカルに戻ってきて、和解が出来るようになるまで・・・









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