砂上の楼閣の終わり

「ですから俺のことに関しては後に置いておいて、またこのバチカルに来ることになると思いますからそれまで俺の事はともかく他の事もそうですが、ナタリアの事を真剣に考えてください・・・これからのキムラスカの事を考えると決して大袈裟な話じゃないと思いますから」
「・・・うむ、わかった」
それでルークが自分の事はともかくとナタリアについてを口にすれば、インゴベルトは苦々しくも頷き返す。インゴベルト自身覚悟の決まっているルークより、何もかもが微妙なナタリアをどうにかすることが面倒だと感じたのだろう。
「・・・すまない。これで話は終わりとする前に最後に一つ聞いておきたいのだが、そちらはこれからどのような行動を取るつもりでいる?ある程度で構わぬから、そちらが来るまでどれくらいの時間があるかの予想をつかせたい」
「そうですね・・・先程のイオン様からの言葉もありますので、まずはダアトに向かってからグランコクマに向かい残りのセフィロトのアブソーブゲートにラジエイトゲート以外の所に向かうようにしてからこちらに来るぐらいがちょうどよろしいかと思われます。こちらにはアルビオールがありますので道中は問題ありませんから、それくらいの時間があればそちらも落ち着いて時間が取れるかと思われます」
「ふむ、成程・・・確かにそのくらい時間が取れればこちらもどうにか結論を出せるであろう」
「納得していただけたなら幸いです」
そこで話は終わり・・・と言うのではなく公爵が今後の予定はと聞いてきたためにジェイドが妥当だろうといったスケジュールを口にすると、納得したという返しが戻ってきた。
「ではアッシュよ。後でクリムゾンから書状を渡させるようにするからそれを受け取ってから行くがよい。中身は先程の話で出てきたモースの件についての物になる。それと後はそちらの都合がついたらいつでも来てくれて構わぬよう、兵には通達はしておこう」
「・・・ありがとうございます。では今宵は宿で一晩を明かし、明日に出発したいと思います。それでは失礼します」
そしてインゴベルトが細かい事も添えた上で公爵に命を出してアッシュに書状を手渡すことを口にした後、一同はアッシュを始めとして頭を下げて会議室を後にしていった。ナタリア以外は様々にあったものの、基本的にそれ以外は問題なく終わったという形で・・・


















・・・そうして城を出て下の階層の宿にまで来た一行はもう込み入った話は明日にアルビオールに乗ってからの移動中にしようということにした。これはイオンがナタリアの事を何とか出来なかったのかというような表情をしていたためである。



(『やっぱイオンはナタリアの事をどうにかって風に思うのは分かるけど、今となっちゃな~・・・』)
(アッシュのことを考えるとうまくいくだとか簡単には言えないのは分かりきってるからな~・・・)
・・・そうして宿の一室にて。さっさと寝ようと明かりもつけることなくベッドに入り込んだルークは心中で『ルーク』と会話を交わす。ナタリアについてイオンが悲しんでいただろうことについて、重さを感じさせるよう。









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