・・・そうして公爵が部屋を出て兵を呼び、涙を流すばかりとなったナタリアはその兵に連れられ会議室を後にしていった。



「・・・すまぬな、色々と・・・」
「いえ、そもそもを言うならナタリアの説得に力ずくで帰すことが難しかったからとは言っても、下手に事態がこじれるよりは連れていった方がいいと俺が判断した事が原因ですから・・・」
「・・・そこについての責任追求はしないというか、もう今更だ。それこそ無理矢理城に戻そうとした所で一悶着などといった事態では済まず、力ずくでどうにかしたとなったならアクゼリュスに行く前にその事についてどうするかと大事になっていただろう。そしてモースがそんな遅々とした事を望んだかどうかはさておくが、それで元に戻して出発したとなっても自分が行きたいからという理由でまたバチカルを抜け出したのは目に見えている・・・故にこちらとしてはそなたに責任を負ってもらうつもりはない」
「・・・ありがとうございます」
それでナタリアがいなくなり公爵が元の位置に戻った所で軽く頭を下げるインゴベルトにルークもそもそもの判断についてを謝罪するが、どうしてもナタリアはまた行動しただろうから気にするなとの返しに微妙そうに頭を下げるしかなかった。インゴベルトのその言葉を強く否定的出来る材料が無かった為に。
「その事に関しましてはこちらとしてもありがたく思います。そこについてを蒸し返されれば私も是が非でも何故止めなかったと言われることもそうですし、何よりこの状態でお二人の内のどちらかだけでもいなくなることは避けたいことでしたので」
「それこそもう今更な事であり、ナタリア自身が無理を通したからという言葉を取っていることは知っている。それにそちらの言葉通りアッシュとルークの二人のどちらかがいなくなることは望ましくないであろうからな・・・むしろこちらが今となってはナタリアの事についてを色々と謝らねばならぬ立場にある・・・何だかんだと面倒をかけてきたのであろうからな・・・」
ジェイドはその会話に乗っかる形で自分達も悪かったというように言うが、インゴベルトが首を横に振って否定を返した物の深くなっていくナタリアの話題に段々と顔をしかめていく。
「・・・わしとしてはナタリアが帰ってきたこと自体はモースがあのようなことになったのはともかくとしても、まだ良いと思った。偽物ということが知らされたとは言っても、それでもナタリアに対する気持ちが全て失われた訳ではないからな・・・だがそちらからの話があったことやモースがいなくなったということを踏まえて、あのような姿や発言をされれば嫌でも考えざるを得なかった・・・バチカルを出る前のようにナタリアを甘やかしていいはずがないとな・・・」
「・・・だからあのような言い方や処分を彼女に言い渡したのですか・・・」
「そうなるが・・・正直な所として、先程の処分についてを厳しいと思ったか導師？」
「・・・彼女に悪気があった訳ではないのは今までの旅からは分かっていますし、心情的には味方をしたくはあります・・・ですがルーク達との旅の最中で彼女が自身の気持ちを優先させようとして動こうとしてきたことは何度もありましたし、彼女自身はそれを間違いではないというか優先させるべきだというような気持ちを変えることはなく動いてきました・・・そういった彼女の事を考えれば、先程のように言うくらいしなければとても止まる事は出来なかったかと思います・・・」
「そうか・・・」
インゴベルトはそのまま独白気味に話をしていきイオンが口を挟んできた為に判断についてをどうか問い掛けると、言いにくそうにしながらも最終的に妥当と取れたと漏らしたことに椅子に背を預けるようにしながら天を仰ぎ見た。









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